2025年8月21日

13-17/08/25 黒部川源流域・池巡り

黒部川源流域に存在する、いくつかの池を巡りました。


夢ノ平は高天原のさらに奥地にある

パタゴニア

黒部川
黒部川の釣り師

薬師沢の宿をあとにして足場の悪い急登をこなすと、雲ノ平の溶岩台地の一角に出る。

針葉樹を縫って緩やかに、さらにもうしばらく高度を上げると想いの地・アラスカ庭園。

折れたままの標柱は当時のままのもので、願わくば新調することなくここに存在させ続けてほしい、は虫が良すぎる願いに過ぎないか。

アラスカ庭園
アラスカ庭園の折れたままの標柱

アラスカ庭園からの時間にすると、歩きながらはもちろん、山荘で滞在中にはオリジナルハンバーガー(数量限定ベーコン入り)を食べたりもして、たっぷり4時間近くも滞在して、ならではの空気観を享受した。

ギリシア庭園
ギリシャ庭園のお花畑(エゾシオガマ、チングルマ)と薬師岳

今日はこのあと高天原へ下るだけだったので、ちょっとのんびりしすぎた感があったものの、実際、もう少し早く切り上げていれば、あとの温泉の入湯時間を長くできた可能性は、あまりにぜいたくな悩みだったとしよう。

雲ノ平ベーコンバーガー
数量限定、雲ノ平ベーコンバーガー

水晶岳
岩苔小谷をはさんで聳える水晶岳

雲ノ平をあとに高天原峠を下り始めると、標高が下がることも手伝って次第に雰囲気が変わる。

ササ原を縫って歩くようになると、間もなくに湿地帯を手前に配し、針葉樹帯を中景にした薬師岳・東南稜の岩稜が独特の景観を創り出す高天原の広い湿原が目の前に現れる。

あえて小屋は視角に入らぬよう配されているようで、ここでは人工物は目に入らない。

行き交う人はなく、聴こえるのは小鳥のさえずり、風が揺らすササの音くらい。

振り返れば水晶岳が高い。

ここにきて、ようやく一つ目の目的の池が近づいてきたことになる。

あくまで至近にまで近づいただけで、その池はさらにもう15分程度、足を延ばした、野湯もある、からまつの湯の、さらに15分ほど歩かなければ到達できない、とんでもなく遠くにある。

夢ノ平の池塘
夢ノ平の池塘と薬師岳方面

こうして、ようやく着いた夢ノ平は山の奥深さを超越した、この地ならではの雰囲気を醸し出す。

通常時、池はほぼ竜晶池一つしか存在しないが、先日の大雨のお陰で、ほかにも大小いくつかの池塘を出現させ、辺りの雰囲気はさらに神秘的。

水草
ある池塘の奥側より水晶岳と祖父岳を見る

竜晶池
竜晶池

今はここが最終到達地点のように、か細い踏み跡がある程度だが、かつてはさらにこの先にも薬師見平を経て奥黒部ヒュッテへと続く高天原新道というルートがあったというから、なかなか奥が深く興味深い。


もちろん帰路には温泉に立ち寄って、そのあと小屋へと戻る。

高天原温泉・からまつの湯
貸し切りの野湯

夜の高天原山荘
満天の星空と高天原山荘

水晶岳
水晶岳の上空に大きく流れる天の川を観る

高天原山荘からは水晶岳の屹立する姿が手に取るように見える。

朝の湿原を通り抜け、岩苔乗越へ向け長い路を緩やかに登る途中に、二つ目の池はある。

水晶岳を間近に仰ぐ、水晶池。

水晶池
見事なリフレクションも、もう少し晴れていれば。。


水晶岳の姿を水面に映す水晶池

北側にわずかに青空がみえた

水晶池が創り出す水鏡は想像していた以上にずいぶん大きい。

あいにくの曇り空で水晶岳の山頂まではスッキリ見えないまでも、対岸に広がる広葉樹と針葉樹を交えた濃いめの木立ちはことのほか素晴らしく、静けさの中に明るさがある、見事な池。

水晶岳の山容全体を水面に投影させることはなかったが、くっきり晴れていて、さらに見上げる空が青空だったら、どんなに素晴らしいだろうか。

水晶岳の完全リフレクションといかなかったことや、あまりの水量の多さに足を踏み入れる場所が、ほぼピンポイント的でしかなかったことが、わずかなマイナスポイントだったが、水が枯れているという前情報を想定すると、見事にそれを覆す姿を魅せてくれたことは、この上ない恩恵にあずかったに違いない。

これら二つの池の周りにはどちらも見事な木立ちが広がり、秋が来ればどれほどの彩で迎えてくれるのか、到底、想像することができない。

岩苔乗越のライチョウ

最後の池は、こここそ時間とメンタルによほど余裕がないと立ち寄れない存在の池。

イワツメクサ

チングルマの綿毛

これまでの二つの池は、その場にまでわざわざ足を運ばなければ目の当たりすることができず、行く人は行く、行かない人は行かない、と事がはっきりしていて、ピークハントを目的とするハイカーには思いのほか縁の遠そうな池なのに対し、鷲羽岳のピークに立った経験のある人で、それが晴天時ならほぼ100パーセントの人が目にしたことがある中、なかなかその池畔にまで足を延ばし水面に触れたことのある人は、わずか数パーセントか、あるいは、ほぼいないのではないのではと思わせる、行きたくても時間がなくて行けない、すぐに行けそうだけど行かない、そもそもそんなことはどうでもいい、上から見るだけでいい、と、いろんな思いをもたれている、意外と身近な存在の池がある。

2021.09.19 鷲羽池の光景

黒部川源流の山としても知られる、日本百名山の鷲羽岳の南東に位置する鷲羽池は山頂から天気のいい日に南に目をやると、眼下に見えるこの池を前景とした槍・穂高連峰の光景がワッシーハンターの目を惹きつける。

通常、遠景に素晴らしい光景を目のあたりすると、どうしても中間域からさらに奥に目が行きそうなものだが、この池の存在は決してそれを許してはくれない。

火口湖なので周りには火口壁のような高さ3、40メートル程度の高見が池を取り巻くようにあるので、池畔から槍ヶ岳方面は見えないだろうが、さて山頂部を見上げるとどんな光景を見せてくれるのか。

山頂を踏んだ後、三俣山荘の建つ三俣乗越へ向けしばらく下ったら、誰もいない池へ向かい急坂を下る。

下るに連れ、次第に見えなくなってゆく槍ヶ岳方面は、時間とともに覆っていたガスが晴れ気味となり、帰路の眺望に期待しつつ池畔へ向かう。

鷲羽池
鷲羽池と硫黄尾根

池畔まで下ると、これまでは想像もできなかった光景がそこにあった。

遠くからは小さくて決して目にすることはできない可愛い高山植物が、池の畔のそこかしこに咲き乱れていたのだ。

鷲羽池池畔
たくさんの花が咲く桃源郷

鷲羽岳

多くの水を貯める池には所どころ大小の岩が浮かび、あるところにはチングルマの綿毛が、まるで水草のように水面に浮かぶ姿もみられた。

水に浮くチングルマ
水面上に綿毛を浮かべるチングルマ

南側に回り込むと、その斜面のお花畑の光景は、まさに桃源郷。

多くの水を貯める鷲羽池

振り返り山頂部と対峙するようになると、山頂部には何人かの人たちが眺望を楽しんでいるのか、ここからも確認できる。

槍ヶ岳は見えているだろうか・・・。

場所を選べば水面にリフレクションした姿も目にすることができ、たくさんのお花も含めて、これまでで最高の夢見心地のロケーションな気がした。

鷲羽池池畔で鷲羽岳を見上げる

登山路復帰直前になってガスが晴れ槍ヶ岳が姿を現せた

前述の二つの池同様、ここも水量はかなり多いと想像できた。

というのも同じこの池の他の画像と今日の画像を比較してみると、今日のように池の水面が手前に向けて噴き出しのようになっているものは見当たらない。

水量の多さから吹き出しのような形を形成しているのが分かる

ということは今の水量がいかに多いかにほかならず、違った形の池を見れて喜んだ反面、もう幾らかでも水量が少なければ池の周りをぐるりと一周できたのではないかとの思いも、あとになって湧いてきた。

雨に降られたりガスられたりもしなかったから、これで良しとしなければいけないのは分かっている。

しかし、どの池でもそうだったように、見上げる空に青空があればと思うのは贅沢が過ぎるかもしれないが、地形的に大きく空の見える、特にこの鷲羽池では、せめてもう少し大きな青空の下の稜線を観たかったのが本音の部分でもあった。

登山道に復帰する際は期待した槍ヶ岳の姿も見える時間帯もあり、いろんな意味で後ろ髪引かれながら、牛歩の歩みで登山路に戻った。


巡った三つの池は三者三様、それぞれに個性的。

そんななか共通して言えるのは、どの池も見事な景観を提供してくれること。

ピークや縦走路といった高みから眺める光景は、気分が晴れ晴れするし素晴らしく異論はない。

しかし、そこまでの眺望、展望が得られなくても、その分を五感をもって感じれるこんな山旅も、いいものだと感じられた池巡りだった。

雲ノ平山荘

山行の記録は ヤマレコ

黒部川最源流、源頭で『揖保乃糸』を食しました。は こちら

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