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2015年9月26日

26/09/15 脳裏に浮かぶ高御位山

パタゴニア

今回の山行中、高山裏避難小屋から荒川中岳への登りは、なかなか登り応えがあった。


板屋岳付近から見上げる荒川三山

荒川岳の山容については、それまでの小河内岳辺りで全体像はつかんでいたつもりで、中岳から渓に向かって落ちる尾根を登るものだとばかり思っていた。

ところが縦走路は小河内岳から高度を落とすと林の中をたどるようになり、時折見えるその山容は次第に変わって行く。

板屋岳からはさらに高度を下げ、高山裏避難小屋から見上げた中岳は風貌も見上げた大きさも、これまでとはずいぶん変わってしまったようだった。

ここからは登山路が付けられているだろうと考えていた中岳へと延びる尾根は左手に見え、さらに左奥に悪沢岳も見上げることができる。

思っていた以上に西に回り込んできたことになる。

実際の登路はその尾根ではなく最も西のカールにあった。

小屋の標高は約2,400メートル。

前岳までの標高差は600メートルもあり、それ以上に眼前に立ち塞がるかのように聳える山塊に、これまでの疲労も重なり不安を覚える。

20分ほど歩くと小さいながら水場がある。

稜線上の貴重な水場だが給水すると当然、重くなる。

しばらく針葉樹の林をトラバース気味に歩くと、やがてダケカンバの点在するカール底のような開けたところを行く。

黄葉の始まった灌木帯をジグザグに縫って歩くこの辺りが最も厳しかった。


荒川中岳付近から北望すると塩見岳をはじめとする北部の山々が一望できる

ここで脳裏に思い浮かんだのが地元の高御位山のことだ。

振り返り見ると、たどって来た山々からある程度自分の居る位置は理解できたが、あまりのつらさにGPSで高度を計測してみた。

2,650メートルだった。

稜線の標高が3,000メートル弱とすると、残りの高度差は350メートルほどで、ほぼ、その標高と同じくらいを残す高さまで登って来ていた。

標柱まで来ると開けたガレ場を歩くようになるので、特にここからは長尾登山路を思い浮かべながら前岳目指し一歩一歩歩く。

登山路は次第に傾斜を増しザレてくるが、脚を前にさえ出せば稜線は徐々に低くなる。

「まだ、鉄塔辺りか。それとも露岩付近まで来たか。」

早朝から10時間以上も歩いてきた身体には、かなりきつい。

見える稜線を高御位の山頂に見立て、もうひと踏ん張りだ。


期待していた赤石岳はガスに包まれていた

終盤、背後からは塩見岳が見守ってくれていたが、ようやくたどり着いた稜線では赤石岳はガスの中で機嫌よく迎えてはくれなかった。

ちょっと、がっかりした。

前岳へは崩落地を右手に見ながら、気の抜けない稜線をもう少し歩かないといけない。

のんびり広い前岳山頂で色んなことから解放され、一気に脱力した。

中岳へはしばらくしてから歩き出す。

中岳に着くと、西に傾いた太陽に照らされた主峰、悪沢岳が迎えてくれた。


黎明の富士

昨日、ここまで頑張ったお陰で今日は悪沢岳からの、こんなにすばらしい朝の光景に会うことができた。

どこででも一期一会、どんな光景も千載一遇。

こちらに山行の画像



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2015年9月23日

19-22/09/15 鳥倉林道から荒川三山と塩見岳

パタゴニア

昨年に続き、今年も行ってきました、秋の南アルプス。

メインは赤石岳を見ること、です。


日の出直後も、すばらしい光景が広がりました

「どこから見る?」
って、去年は南の上河内岳や聖岳から見たので今回は北の、同じくその時に上河内岳から遥かに、そして微かに見た荒川岳の主峰、悪沢岳からです。

稜線や山頂でいい光景を見ようとすると、どうしてもコスパに優れず、ここは他と同様どころか、それ以上につらいのは実体験済み。

さらに天気次第で、どうにでも転がりそうなことを人間の都合の休みの日に経験しようとするのだから、無茶にもほどがありそうなものだけど、そんなことは言ってられないので、運を天に任せて出掛けてみると・・・、

とんでもない幸運に恵まれてしまったではないですか。

ま~、日本中の山好きはみんなそう思ってるでしょうけどね。


荒川中岳避難小屋と悪沢岳

この付近では、あくまで避難小屋扱いですが山頂直下のとんでもなく過酷な条件下に小屋が建っています。

ハイシーズンは、ほぼほぼ営業小屋状態なので、さすが民間の東海フォレストってところですか。


小屋内部

キャパ30人ほどの小さな小屋です。

右が管理人室に腰掛ける山中さんと、左側が休憩スペース。
二階が就寝専用スペースとなっていて全体的には機能的で想像以上に快適です。
今夜の宿泊は32名(たぶん)。


悪沢岳山頂部と星空

星を撮りに来たという方にレクチャー受けて撮った悪沢岳と上空の北極星とカシオペア座。

次々に飛来する航空機は、このようなシーンではかなり悪者らしいです。

星空はバッテリーのこともあり、そこそこに切り上げ翌朝に期待して就寝。

先に書いたとおり、あくまでメインは赤石岳の方だったんですが、やっぱり気になる、いや、外そうにも外せない存在がここにはあるんです。

そう、日本を代表する山、富士山です。

特に朝の存在感は大きすぎていけません。

見える位置、方角と距離感が、それを抜きにすることを決して許してはくれません。

ですので、朝の早い時間帯は東の空に繰り広げられる光景を存分に楽しみましょう。

ただ、そんな彼も太陽の角度が増すほどに存在感は薄くなるので、以降は近隣の山々を注視してあげればいいと思います。

で、翌朝の光景がこれです。


扇状のサンピラーと黎明の富士

昨夜の夕景がダメだったことなどすっかり忘れさせてくれました。

とにかく素晴らしかった。

南に目を転じると、盟主・赤石岳と聖岳、奥聖岳。上河内岳も、もちろん。

兎ちゃんも右肩にちゃっかり居ます。


赤焼けの赤石岳

聖岳からみた赤石岳はとんでもなく大きく、こちらからならどれだけの姿を見せてくれるか大いに期待してたけど、日本一の山にあれだけの演出をされてしまうと、どうしても富士山にはかなわないかな~。

朝焼けの雲が素晴らしいということは、裏を返せば日の出のあとはお陽様は、あまり世を照らさないってことなので、山々を照らすモルゲンロートに関してはしょぼいまま終わり。。。

真っ赤な赤石を見たかっただけに、ちょっと残念。

ここからは、いきなり翌日の塩見岳からの様子です。


塩見岳から甲斐駒ヶ岳、間ノ岳の北部展望
間ノ岳や農鳥岳(写ってないです)の存在感が大きい


蝙蝠岳と富士山

北岳は間ノ岳の左肩にわずかに見える程度。

また前述の通り、陽もずいぶん高くなったのと距離的にもわずかながらも遠くなったのとで、ここでは富士山の存在感も、思いのほか小さい。


北俣尾根上部と荒川三山
肉眼では荒川中岳と前岳のやや低まった稜線の奥に赤石岳山頂がほんの少し見えます

荒川三山とはよく言ったもので、その山体はかなり大きく、実際は白根三山にそれぞれ別の呼称があるように、これらにもそれぞれにも独立した山名があってもいいのではないかと思うほど立派な山容を横たえていた。

なかなかイイぞっ、南アルプス。

ちょっと、じゃなくかなりキツイけど。

山行の詳細はヤマレコ



塩見岳西峰と遥かに槍ヶ岳~穂高岳稜線




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2015年8月16日

15-16/08/15 駒鳥小屋の主(ぬし)

パタゴニア

松江・Yくんと東大山、駒鳥小屋泊で伯耆大山・三鈷峰に行ってきました。


そうめんは、もちろん地元の揖保の糸

今回の山行の目的は駒鳥小屋に泊まることでも三鈷峰のピークに立つことでもありません。

何を隠そう、地獄谷の清流でそうめんを食べることが最大の目的です。

かねてから一度は野外で食べてみたかったそうめんを、ここにきてようやく地獄谷という最高にも近いロケーションで食べることができました。


予行演習

大きな目的は最後までとっておきます。

よって、そうめんは二日目のお昼。

とか言いながら、さすがにぶっつけ本番でヘマするといけないので、とっておかずに一日目の夕食に予行演習的にいきなり食べちゃいました。

「うまい。」

これなら明日も約束されたも同然です。


湿度の高い小屋内部
かなり蒸し暑い


夕刻はガスが湧いて曇っていたが夜になると晴れた

振子沢を夏に上がるのは初めてでした。

朝露に濡らされた草木の葉っぱがかなり煩わしかったですが、振子沢を外れ象ヶ鼻へと延びる尾根へと急登し始めると次第に東壁が姿を現し、素晴らしい光景が眼前に広がりました。


振子沢で見かけたナンゴククガイソウ


雪の振子沢はもちろんイイけど、花と緑に包まれた振子沢も同様に素晴らしい
シシウドは白くて大きいので目立つ


象ヶ鼻に上がるとユートピア小屋と三鈷峰
北壁や山頂稜線も初めて目にすることができます


ユートピアと避難小屋


ナナカマドと北壁


イヨフウロとシモツケソウ

象ヶ鼻と三鈷峰のそれぞれのピークから展望を楽しんだら、最後のお楽しみそうめんに向けて急降下。

雪にスキーがあればわずかな時間でそこに達せるのですが、この状況では足元に最大の注意を払いつつ、慎重に下ります。

本沢の流れは清く冷たく、これでさらせば旨くないはずがありません。

秋めいた涼風の吹く本谷で絶品の揖保の糸をいただきました。

しか~し、この後、忘れてはならない最後のひと仕事が残っていました。

雪の時期もそうですが、それがない時でも同じく鳥越峠への登り返しが残っていました。

旨かったそうめんの味を忘れることはありませんが、あやうく忘れてしまうのではないかと思うほどへロヘロになってようやく峠へ登り上がりました。

ベースにスキー山行のイメージがあるばかり、峠からも文殊堂分岐までももちろん、健康の森入口もずいぶん遠く感じましたね。



おっといけないっ、そんなことよりも伝えておかないといけない、もっと大事なことを忘れてました。


駒鳥避難小屋

表題の主(ぬし)のことですけど、駒鳥小屋には主のようなヘビが棲みついていることは、どこからともなく聞いた事がありました。

どこの小屋でもこの手の話はありそうなので、どうせよくある噂ににすぎないのだろうと思っていたら、そんなことはありませず、ここの話はマジです。

ホントにいました、見ました。

それでも朝まで寝てたんだから、ある意味、どんな神経か疑われそうですけど、おそらくもう泊まることはないと思います。

というわけで、駒鳥の主は本当にいたことをお伝えしておきます。



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2014年8月16日

13-15/08/14 南アルプス・上河内岳

パタゴニア

南アルプス南部に位置する上河内岳に行ってきました。


展望皆無、絶景のはずの上河内岳

南アルプス南部の聖岳~赤石岳~荒川三山・悪沢岳を、畑薙大橋から入山して椹島までぐるり回ろうと計画しましたが、二日目朝にはいきなり雨。

その後、数日間も曇り、もしくは雨予報で、好天は見込めないとみて、あえなく聖平から撤退しました。

思ったピークには立てず景色だって何一つ見れなかった。

目的のひとつだった百間洞のとんかつも食べられなかった。

立ったピークらしいピークは上河内岳だけという、かなり消化不良の山行となったが、そんな中にもこんな時こその人との出会いがあった。

初日はバスで隣に乗り合わせた茶髪、いやいや昨今ではほとんど見なくなった金髪か、あるいはオレンジ髪の高槻のお兄ちゃんと一緒に歩いた。

なかなかきつい登りだったけど、今回は来れなかった(あ)。と一緒に歩いている感覚で楽しかった。


光岳から鳳凰三山まで大縦走するという高槻の木村くん
こんな風貌の若者ほどタダ者ではない

聖平では終日の雨で、テント泊の人たちが用具や衣服がびしょ濡れなこともあって素泊まり用の避難小屋は大賑わい。

近くの床の人同士で話が合い、明日なら静岡駅まで送ってもらえるとの話しがまとまり、翌日は談笑しながら一緒の下山となった。

苫小牧、倉敷の鈴木さん親娘、安孫子の田宮くん、浜松のナンバさん。


田宮くんと鈴木さん親娘(なんと、中2生)


足早に下ってゆくナンバさん

みんな山が好きな人ばかりだった。

同じアルプスでも北アルプスでは味わえない一期一会だった。


横窪沢小屋、木村勝利さん

横窪沢小屋の管理人さんもよかったな~。

PS:
上河内岳のピークへの基部といえる稜線上の分岐に着いた時の感覚は何だったんだろう。

ここに足を運ぶのは初めてなのに、これまでに出向いたどこかの光景にそっくりで、あたかもその場所を再訪したかのような感覚に陥った。

辺りがガスに包まれ展望がないことがそう思わせたのかも知れないが、それにしても何だか不思議な感覚だった。

しかしながら、未だその場所がどこだったのか特定できていないし、本当にそんな場所を訪れていたのかどうかさえはっきりせず、ややモヤモヤしている・・・。

時系列画像付きファイルはこちら


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2012年11月4日

03-04/11/12 初冠雪、伯耆大山

パタゴニア

山頂避難小屋泊で伯耆大山に行ってきました。


深夜、月光に映える剣ヶ峰、槍尾根

山行記録と画像はこちら

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2012年8月5日

04-05/08/12 伯耆大山山頂小屋

パタゴニア

山頂避難小屋泊で伯耆大山に行ってきました。

夕日に照らされたブナ林が真っ赤に燃えていた
三合目付近で


草鳴社ケルンと米子平野方面の夜景


月光に剣ヶ峰、槍尾根、烏ヶ山稜線が映える
中景は蒜山方面


山頂避難小屋と米子平野の夜景


深夜、東の空を見るとオリオン座と
ひときわ明るい木星が輝いていた


山頂石碑と星空


朝霧流れる蒜山方面


シモツケソウと剣ヶ峰


行者谷の見事なブナ


山頂から見る朝の様子は、昨晩からのことを考えると大いに期待したが、意外とそっけなく陽が昇ってしまった感が強かった。

それでも、烏ヶ山や蒜山方面を覆う朝霧が滝雲となって稜線を流れる様は、早朝ならではの光景だった。

この日の眺望は素晴らしく、西の三瓶山は日の出間もなくからその姿を現せる影大山の彼方にくっくりと見え、日本海に浮かぶ島前、島後の隠岐ノ島もこれまでにないほどはっきりと見ることができた。

頂稜台地のお花畑については、沢山の種類の花は咲いていたが全体的に色づき具合が良くない印象。

帰路、立ち寄ったペンションのオーナーによると、「今夏は雨が少ない。」ようで、その影響もあるのかもしれない。

「ユートピアはそれなりにキレイでしたよ。」

下山後、駐車場で出会った青年が話してくれた。





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