2018年9月25日

23-24/09/18 北ノ俣岳と薬師岳

パタゴニア

北アルプス・黒部源流域、北ノ俣岳と薬師岳に三木・Yくんと行ってきました。


夕食準備に追われる薬師岳山荘・厨房の窓越しに槍ヶ岳を望む

そもそもの予定は23日、日帰り薬師岳だった。

予定通り行かなかったまず第一は前日のうちに有峰林道を通過できたこと。

到着が19時25分だったこともありゲートは当然のように閉まっていた。

管理人の姿はあったので、ならば当然の如く頼み込むに決まってるでしょ。

小銭の持ち合わせがあったことが功を奏したかどうかは知らないにしても、再度ゲートを開けてもらい通過したのだった。

本来ならココで一夜を過ごすつもりだったので、良い方の予定外だった。

折角、早発ちできる恩恵にあずかったのに朝の出発は6時とした。

天気が読みにくいことが遅い出発とさせ、これが後に少し後悔の念を持たせる結果ともなった。

この夏の天候不順は今になっても、その傾向を引きずったままで秋っぽくなってきた今になっても計画を立てることすらままならない。

同じルートのピストンなら復路がライトが必要な時間になってしまっても往路の際の記憶に任せて歩けば問題ないだろうとみて、こんな時間からの行動開始となった。


今日に限っては久しぶりの上天気。

名物・アラレちゃんをみて三角点まで来ると正面左に大きな山容の薬師岳や左手、大日連山の向こうに剱岳が顔を出してくれた。


五光岩と弥陀ヶ原、大日連山、剱岳

これから太郎平までは傾斜は緩いが距離があり、足元も決して良いとは言えない状態なので思った以上に歩きづらい。

太郎小屋の稜線はず~っと先にしか見えない。

こんな比較的ゆるい傾斜の登山路が続くので、今日のこの後の行程のことをずっと考えながら歩いていた。

この天気、日帰りで薬師だけというのは勿体な過ぎる。

ならば、どうすべきか。

天気がよければ朝日も見たい。

というより、これが第一の目的かもしれないから外すことはできない。

となると、太郎小屋は不適でさらに二時間先の薬師岳山荘小屋に泊まらなければならない。

薬師はもちろん、黒部五郎も魅力的だ。

でも、五郎まで行ってきてさらに薬師岳山荘まで歩く元気はあるだろうか。

足は逝ってしまわないだろうか。

カメラと三脚は用意してきた。

明日の天気も予報よりも好転して昼頃までは持ちそうな気配。

雲ノ平に泊まる、ってのもアリかもしれない。

なんとか朝日は見れるものとして、とりあえず五郎までの道中の北ノ俣まで足を向けることにしよう。


太郎平から遥かに白山を望みながら北ノ俣岳へ

太郎山の辺りは右手遥かに白山を望みながら鼻歌混じりのお散歩道だ。


マイナーな北ノ俣岳といえど、山体は立派

双六と丸山の稜線の上にとんがり槍さんの先っちょ見っけ。


三俣蓮華~丸山の鞍部に思わせぶりにとんがりの先っちょを見せる槍ヶ岳

振り向いて見る薬師は稜線左に剱さんが顔をのぞかせ東南尾根がどっしりバカでかっ。

三俣蓮華の右は丸山で、その右の三つコブは左が双六と右端が南峰だよ。

正面、五郎の右には笠さんや乗鞍さんも。

雲ノ平の向こうだから影は薄めだけど、もちろん鷲羽も。

すぐお隣のワリモ岳もちょっととんがってイキがってるみたいだね。


水晶岳を借景に悠然と青空の黒部源流上空を舞う猛禽類
実はこの鳥の下方には少し小さめの鳥類が写っているが、この後の顛末は知る由もない

水晶も、さすが百名山だね。とってもカッちょいいよ。

ここにきて槍が解らない人が居るはずはないだろうけど、果たして皆は他の山のことは解ってるのかな~。

それにしても、こんなに楽しく山座同定できる散歩道はほかにあるだろうか。

展望を愉しみながら緩やかに高度を上げると薬師沢左俣源頭部をトラバース気味に北ノ俣岳へ。

有峰林道が閉鎖される期間には、このエリアへの一般的なルートになる飛越トンネル、寺地山からの飛越新道を右手から合わせると間もなく山頂。


東南尾根を従えた大きな山容の薬師岳
左肩に早月尾根稜線と剱岳山頂部が覗く

着いた北ノ俣山頂展望台は北アルプスど真ん中で、素晴らしさこの上なし。

鷲羽乗越の先は本日、初見参の大天井岳かな。

登山路開通するって言ってた御嶽さんも見えてるよ。


北ノ俣岳山頂より黒部川源流部を望む

ところで、正面に見える黒部五郎は少しは近づいただろうか。

ここから往復して、さらに太郎小屋、薬師岳山荘までなら、まだずいぶん時間が掛かりそうだ。

折立出発が、もう少し早ければ時間に余裕ができていたはずだけど、それよりも足の心配もしないといけないのが現実的かな。

目の前の赤木岳までならの考えも頭をよぎったが時間が12時近くになったのと、明日の天気も良さそうだし、ここは大人しくUターンすることにしよう。


眼下に有峰湖と彼方に富山湾、能登半島

太郎小屋までの道のりも決して近くない。

遠目から見るとたおやかな稜線にみえるこの付近も、登山道はガレていて足元の良くない場所もあるので十分注意して歩く。

晴れていてこれだから雨が降っていれば時間的に余計にかかるし精神的にも疲れるだろう。

太郎小屋のネパールカレーで空腹を満たしたら山荘まで頑張るとしよう。


彼の顔を立てたからではなく
普通のカレーが売り切れだったのでネパールカリー

太郎平一帯は木道が多く敷設されている。

一見歩きやすそうだが雨が降っていればもちろん、朝露が降りたりして濡れていれば大変危険で、植生や登山路の保護の観点から致し方のないことだが歩行には十分注意する必要がある。

薬師峠がキャンプ指定地。

水は豊富だが、ここからは黒部五郎や北ノ俣は見えるが他の山は見えないのは残念。

鞍部だから仕方ないか。

薬師岳方面へ沢地形の、やや歩きづらい急登をしばらく登ると薬師平。


薬師平の池塘

小さな池溏もあり鷲羽岳、槍ヶ岳、三俣蓮華岳、双六岳など黒部川を取り巻く山々もよく見えるようになる。

テント泊で良い景観にありつこうとするなら、ここまで乗り上げる少し余計なアルバイトが必要だ。

山荘へ向けて最後の登りも薬師沢右俣の見事な黄葉に励まされ頑張り甲斐がある。

振り返ると北鎌~槍~奥穂・ジャンダルムまでが一堂に姿を見せてくれるようになり、眼下には薬師沢右俣源頭部から黒部川へと続く渓や沢。

さらに彼方へと続く、これぞ北アルプス的景観の山並みが素晴らしい。


奥に見えるのは黒部五郎小舎の鞍部や秩父岩付近のスカイライン

三俣蓮華岳から見ると黒部の主は、まさしく源流に位置する鷲羽岳だが、この付近から見ると名前にその名を冠する黒部五郎岳といっても過言でない存在感。

次第に大きくなる正面の薬師岳はハイマツの緑と山体の白さが特徴的で、見上げる青空とのコントラストも素晴らしい。

小さなコブを巻くとタルチョで飾られた薬師岳山荘に到着だ。


タルチョの掲げられた薬師岳山荘と薬師岳

夕日の時間帯はちょうど食事の時間と重なっていた。

食堂からでも夕陽は見ることができるが、幸か不幸かダメっぽかったので食事の時間を残念に思うことは全くなかった。


薬師岳山荘のタルチョが夜空にはためく

午後からは少し雲が出たが夜になっても星は見えていた。

明日、十五夜らしく東の空には月が大きく輝いていた。


月光下、その姿をくっきりと映し出す槍~穂高連峰稜線


砺波平野の夜景
夜が更けると明かりが増して、それなりに見場はあった

3時起床、出発は4時前だった。

山頂には45分ほどで着いたので日の出にはまだ1時間の余裕があった。

二人っきりで独占的に、あれやこれや撮りまくる。

三脚があれば何でも来いだ。

昨夕、食事の際に食堂で目にしたTJAR選手たちの薬師岳での写真を真似て暗闇の中、何枚か撮ってもみると、まんざらでもない今までにない違った趣向の画像が撮れた。

自己陶酔の極み。


暗闇の薬師岳山頂

いつもは単独行なので、こんな画像にありつけると違う愉しさを見いだせた気分だった。

小屋を出た頃はあまり寒さは感じなかったが時間とともに風が強くなり気温も下がり気味。

それでも決して震え上がるほどのことはないので、これくらいなら上出来か。


山頂に向かってくるライトの灯り
右下が山荘の灯りで大遠景は御嶽

快晴ではないものの空がすっぽり雲に覆われているわけではないのでちょうどいい具合に雲が焼けて良さ気な光景に出逢えそうな予感。


日の出間際の山頂


朝日を待つ人たち

次第に東の空は明るくなり、やがてその時はやってきた。


ご来光

裏銀座縦走路の起点、烏帽子岳~三ツ岳間、ちょうど烏帽子小屋の彼方、稜線奥の唐沢岳左からの日の出だった。

日の出自体は大したことはなさそうだったが上空に広がる雲を赤く染めるさまは中々だった。


標高が上がることで槍~穂高連峰も
北鎌尾根独標から西穂高岳独標付近まですべて見えるようになる

日の出の後も、もうしばらくは素晴らしい光景があることを知っているつもりだ。

朝の光景の素晴らしさは日の出そのものだけではなく、その後のしばらくの時間帯こそとっておきの時間なのだ。

もちろん、もうしばらく長居する。

薬師岳からの眺望も、昨日の北ノ俣岳に負けず劣らずか、それ以上に素晴らしい。

さすが、どちらも黒部源流域の山深いところに位置するだけのことはある。


北薬師岳と大日連山から剱、立山へと稜線が連なる
雄山の手前は五色ヶ原台地

山頂からは北の至近に北薬師と中景に五色ヶ原や彼方に立山(雄山)、剱へと続く。

右は後立山連峰、針ノ木、蓮華岳と続き裏銀座の烏帽子、三ツ岳、野口五郎から水晶へ。

赤牛さんも忘れちゃいけないね。薬師見平も見えてるよ。


砺波平野に大きな影を映す影薬師

この時間、黒部川の深い渓は斜光の朝もやに包まれた眠りの中。


黒部峡谷、上ノ廊下に日射す

南は昨日もずっと見てきた名峰の数々。


南望しても素晴らしい景観が広がる

結局、山頂では二時間近くにわたり眼前に繰り広げられる壮大イベントを堪能した。

好天に勝るものはないね。

あれやこれや悩んだけど今回の計画遂行はこれで大正解だった。

小屋へ戻り遅い朝食を摂ったら下山しよう。

太郎小屋までの道のりはいくら見てても飽きないほど見どころ一杯。


見下ろす薬師沢右俣の黄葉と雲ノ平を回り込むように流れる黒部川本流
鷲羽乗越、三俣蓮華岳~双六岳稜線の奥に槍~穂高連峰


薬師峠近くで見た紅葉の木と北ノ俣岳

今回行けなかった黒部の五郎さんには機会を見つけて足を向けることにしよう。

黒部の五郎さんだけでなく野口の五郎さんも今日はしっかり見たし、決して忘れてないよ。

太郎平から折立までは当然長い。

三角点から下も意外と歩きづらい。

アラレちゃんまで来ると飽き飽きする。

太郎平から折立は2時間ちょうどで無事下山。

見上げると雲が広がって晴れ間は見えなかった。

小屋で聴いたところでは昨日は朝10時頃から天気回復したらしいから、朝日を見るには今日がベストのタイミングだったようだ。

素晴らしい景観を提供してくれた薬師岳に感謝して次の山行に備えよう。


おまけ


ただならぬ存在感
ランドローバー・ディフェンダー / LANDROBER・DEFENDER

長文にお付き合いいただいたことに、お礼申し上げます。

ありがとうございました。



HPは ようこそ『山のアルバム』へ


・・・つづきを見る

2018年9月16日

16/09/18 ビックリしたなぁ、もおぅ。

パタゴニア

雪彦山、虹ヶ滝~地蔵岳~大天井岳~出雲岩周回しました。


見事な色彩のタマゴタケ
今日、二つ目のビックリだった


滅多にない水量の出合い下の滝

一つ目のビックリはこのキノコ。

とにかくデカい。


名前不明の巨大夫婦キノコ

比較のため置いたのはiphone8だから傘の直径がこの長辺よりも大きく、これまでで見た中で最大。


虹ヶ滝

三つ目のビックリはココでのこと。

何時ものように滝の下に来ると何か雰囲気が違う。

それもそのはず、水面手前の三角錐の岩の上に大きなカエル。

「ビックリしたなぁ、もおぅ。」

生き物だけに、これが最も驚いた。

写真を撮る間どころか、さらにもうしばらく微動だにせず鎮座していた。

もしや、ココの主か?!


アズマヒキガエル?

ちょっと調べてみると特徴からするとアズマヒキガエルっぽい。

体長は15センチメートルほどもあったように感じたので、かなり大きい個体といえそうだ。

飛び掛かってきたら怖いので近寄らず。


凄い水量の虹ヶ滝


轟音とともに流れ落ちる

水量の多い時の虹ヶ滝は降り注ぐ飛沫でレンズキャップを外す度レンズが曇ってしまう。

下流側から風があれば助かりそうだが、あいにくそんなシチュエーションに出くわしたことはなく、レンズの水滴を取るのに苦労する。


虹ヶ滝出合い

最近は明るい感じの、この出合いの光景はお気に入り。


地蔵岳


大天井岳


大天井岳より七種山山塊と高御位山連山遠望


同、明神山


同、見下ろす地蔵岳

この他にも驚きはあった。

大天井岳で後に上がって来られた自身よりやや年配の方、二人。

このうちの一人が息子の大学の大先輩で、同業の方だった。

山岳部OBで、かつてはヒマラヤまで遠征していたらしく新婚旅行がメンヒ登頂だったとか。

もう一人の方は、実はお兄さんらしく、この方は私自身の兄と同窓で、もちろん兄と同職。

前述の弟さんのご子息は同じ大学の、息子と同じ学科に勤務されていて、兄さんのご子息も流石に学校は違うものの息子たちと同職だとか。

名前は『穂高』さんだって。

こんな話のきっかけは、この方が奥又白池での出来事を他の方と話されているのを小耳にはさんだからだったが、これだけ親近感のある話ができること自体、まず有り得ず、こんなところで、さらにこんな話にまで花が咲くとは想いもよらないことだった。

厳冬期、奥又白での出来事の続きは北尾根を経て前穂高岳、奥穂高岳を越え、涸沢岳西尾根から命からがら下山された実体験話で、なかなか興味深く聴かせていただきました。

また、この年で兄弟で一緒に山に登られるなんて、中々イイ関係ですね。



今日の雪彦山は湿度が高いせいか沢沿いはキノコがたくさん生えていた。

これまでにもキノコを見かけることはあったが、ここまでの多さでなく、また見たことのないような種のものもあったような気がした。

ただし、摘んで持ち帰るどころか触りかけもせず、画像撮るのみ。

カエルのみならず、この手の生物(植物)は恐ろしくて手が出ない。

ヒルには喰われずに下山、帰宅できたから、何も文句のつけようはなし。

それにしても、いち早くこの蒸し暑さから解放されたい・・・。



HPは ようこそ『山のアルバム』へ

・・・つづきを見る

2018年9月2日

02/09/18 かしましや

パタゴニア

雪彦山、虹ヶ滝~鉾立山~大天井岳~地蔵岳~虹ヶ滝(ティアドロップ改め)バルーン周回しました。


鉾立山稜線、林道出合いより見る洞ヶ岳岩峰と明神山、播磨灘、家島諸島

長めの距離を歩くため上記ルートで雪彦山を歩いたのですが、たどり着いた大天井岳ですぐそばで店を広げた年配のおばさん三人には閉口しました。

ず~っとしゃべってて、兎にも角にもうるさい。

話しの内容も耳に入らないほどで、思わず
「ちょっと静かにしてくれませんか。」

って言いそうになるほど。

言わずもがな、話しの内容は大したことはなさそうでしたが、うるささは過去最高、最強。

今、思い返すと、しゃべってた時間って何かしら食事の時間だったはずなんだけど、ホントに食べたのかな~?

まっ、いいか。

先に下山されたので、下山後はさながら嵐が去った後の静けさのようでした。

太平洋上の台風21号も気をヤキモキさせますが、おばさんたちの如く大した害がなく過ぎ去ってくれればいいのですが・・・。


出合い下の滝


虹ヶ滝


水量豊富な虹ヶ滝


下方に虹を架ける


水量が多すぎてレンズに飛沫がかかる


こちらが一般的に言う虹ヶ滝


沢沿いで目にしたなめこ?


林道出合いからは南側がよく見える
右に鉾立山ピークと中央左寄りに洞ヶ岳、明神山


明神山、書写山と姫路市臨海部


不行岳と地蔵岳


大天井岳(手前の稜線、右)と不行岳(同、左下)


鉾立山


鉾立山稜線の足元には秋の花、ハギの花がたくさん咲いていた


ガスのかかる氷ノ山


大天井岳より南望


同、北望して見る歩いてきた稜線


同、見下ろす地蔵岳


地蔵岳ピークで今日の相棒のストック代わりの枝と



HPは ようこそ『山のアルバム』へ

・・・つづきを見る