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2010年1月5日

02/01/10 香港・八仙嶺(Pat Sin Leng)~黄嶺(Wong Leng)

パタゴニア

大美督(Tai Mei Tuk)より八仙嶺(Pat Sin Leng)方面を見上げる

大美督(Tai Mei Tuk)の鏡のような水面の小さな池に
ガスに覆われた八仙嶺(Pat Sin Leng)が映っていた

新年2日、香港・八仙嶺(Pat Sin Leng)~黄嶺(Wong Leng)を歩きました。
天気に恵まれず展望は得られませんでしたが、香港にある太古からの自然を充分に感じられる、いい山歩きが出来ました。
昨日の南涌(Nam Chung)、鹿頸(Luk Keng)、新娘潭(Bride's Pool)トレックに続き、二日続きで大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)から新娘潭(Bride's Pool)に向かいます。

今日は山行の予定なのでできるだけ朝早くにホテルを出ようとしましたが、良いのか悪いのか朝食は豪華ビュッフェ付き。
つい時間が掛かってしまい、ホテルをあとにしたのは昨日とほぼ同じ10時頃になってしまいました。

登山口までの経路は昨日とほぼ同じなので、少しのんびり構えていても大丈夫でしょう。

大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)からは昨日とは違う手段で新娘潭(Bride's Pool)に向かうため、今日はミニバスに乗車します。
乗り場はバス乗り場とほとんど同じですが、ミニバス専用の乗り場です。

大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)のミニバス案内板

大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)のミニバス案内板

大埔(Tai Po)

大埔(Tai Po)

すぐ目の前に20Cのミニバスが目に付いたので乗り込みます。

オクトパスカードを清算機にピッとかざし料金先払いし、確認の意味で運転手や、すでに乗り込んでいる青年にこのバスの行き先を聴いてみまると・・・、同じ20Cのバスでもルートがいくつかあって、このバスはこれから行こうとしている新娘潭(Bride's Pool)まで行かないようなのです。
それでは困ります。

一度下車し、案内係らしき人に聴くと、確かに新娘潭(Bride's Pool)行きの乗り場は別にあり、その乗り場へと案内してくれました。
ただ、そのルートは本数があまりなく、次の出発時間までまだ1時間近くあるとのこと。
これでは時間が勿体ないので、いきなり山行ルートを変更して大美督(Tai Mei Tuk)から八仙嶺(Pat Sin Leng)を目指すことにします。
ちなみに昨日乗った275Rのバスは今日は平日のため運休のはずです。

そうこうしてるうち、先ほど、一度乗り込んでいたバスはすでに発車してしまいました。
こんな時もモーマンタイ。
案内係の人は次のバスにちゃんと案内してくれ、当たり前ですが料金はフリーで乗車させてくれました。
どこに行ってもいい人ばかりです。

小回りが利き目的地まで早く着くと思い乗り込んだミニバスでしたが、その小回りが利く優位性を活かし、意外や意外、町の中心部へと向かって行きます。
工業団地にもルートが設定されているので、ぐるぐると遠回りした格好で、むしろ、バスよりも余計に時間が掛かってしまいました。

昨日は通り過ぎた大美督(Tai Mei Tuk)が終点なので、ここで下車します。
足を下ろすと昨日、車中から感じたとおりいいところです。
ここは同じ香港の港のある風景でも、西貢(Sai Kung)や大澳(Tai O)とも違うし、同じリゾート地のような淺水彎(Repulse Bay)とも違います。
もちろん世界的な貿易港、ヴィクトリア・ハーバーと比べようものならなら、土俵がまったく違った感じで、到底、これが同じ香港の港であることなど想像だにできません。
とにかく絶対的な人の数が圧倒的に少なく、建物もせいぜい三階建てほどのものが点々とあるだけ。
空も大きく広がっていて、いかにも大陸的は風景に感じます。

大美督(Tai Mei Tuk)のバスターミナル

大美督(Tai Mei Tuk)のバスターミナル

大美督村(Tai Mei Tuk Village)公所

大美督村(Tai Mei Tuk Village)公所

ロケーションは絶好なのですが、心配なのは見るからに天気があまり良くなく八仙嶺(Pat Sin Leng)の稜線がガスに覆われてしまっていることです。

昨日も一昨日も同じような天気でした。
朝は曇っていいて、このまま曇りや後に雨でも降るのかと思いきや、午後からは晴れたりする日本にはない変な天気で、今日もそうなってくれることを期待していますが、さてどうでしょう・・・。

とりあえず、すぐに雨が降るようなことはなさそうなので、出発です。
車道を短く歩いていると前方から歩道の上をロードバイクを押しながら歩いてくる人がいます。
日本では自転車の具合でも悪くなければこんなことはしませんからちょっと不思議な気がしましたが、道端の標識を見て理解できました。
どうも、この付近は急坂に加えカーブしているので、この何メートルかの区間は自転車は乗車して通行してはいけないようなのです。
意外と律儀なんですね。香港の人って。

標識は一人前の交通標識だったので案外、違反すると交通切符を切られるからかもしれませんが、もし日本にあったら守らないでしょうね~日本人は、このルール。

遊客中心(Visitor Center)脇の管理道路をほんの少し歩くと登山口がありました。

船灣郊野公園遊客中心((Plover Cove Visitor Center)

船灣郊野公園遊客中心((Plover Cove Visitor Center)

春風亭(Spring  Breeze Pavillion)

春風亭(Spring Breeze Pavillion)

すぐに春風亭(Spring Breeze Pavillion)をくぐると登山路は基本的に山腹をトラバースするように付けられています。
新娘潭路(Bride's Pool Road)からのルートと合流する地点で、今日初めて先行グループに追いつきました。

三人グループの彼ら、どこかで会ったことがあると思ったら大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)から同じバスに乗り合わせ先に下車していた若者たちです。
すぐ前の席だったのでよく覚えています。

右手には時折、船灣水塘(Plover Cove Reservoir)が見える

右手には時折、船灣水塘(Plover Cove Reservoir)が見える

T字路を左折し八仙嶺(Pat Sin Leng)へ向け急登

T字路を左折し八仙嶺(Pat Sin Leng)へ向け急登

バスの中では何やらコンピューターのことでも話していたのでしょうか、終始にぎやかに話していましたが、ここでも話しが弾んでいるようで、一人の女性が歩きながらもずっとといっていいくらいおしゃべりしていました。

おそらく話していたのは広東語でしょうから、時折耳にしたCPUやMICROSOFTといった英単語がかろうじて解るくらいで、それ以外は何を言っているのか、さっぱりわかりませんでしたけど・・・。
多分、コンピュータの話しをしてたんでしょうね。

広東語って、口調がまくしたてて喋る感じなので、街中のレストランなんかではすごくうるさくて、「何とかならないかな~」なんて思うこともしばしばありますが、こんなところで、それも若い人が話してるのを聞くと、意外とユーモラスで和んだ感じに聞こえて来るから不思議なもんです・・・。
仙姑峯(Hsien Ku Hung)

仙姑峯(Hsien Ku Hung)

八仙嶺(Pat Sin Leng)のひとつ目のピーク、仙姑峯(Hsien Ku Hung)に達すると、大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)ではじめに乗りかけたミニバスに乗っていた青年に出会いました。
あのルートでここに来る若い人は八仙嶺(Pat Sin Leng)に来る人が多いのでしょう。
山頂からは何も見えません・・・。

稜線に咲く花

稜線に咲く花

八仙嶺(Pat Sin Leng)は名のとおり、八つの峯が連なっているのでこんな命名になったのでしょうが、八つの峯が連なっていると言っても実際に歩いてみると大した距離ではありません。
多少のアップダウンはあるものの最東の仙姑峯(Hsien Ku Hung)から最西の純陽峯(Shun Yeung Hung)まででも35分ほどでした。

その西に位置するのが八仙嶺(Pat Sin Leng)山脈の最高峰、黄嶺(Wong Leng)です。
残念ながら、あいにくの天気で何も見えません。

八仙嶺(Pat Sin Leng)では連なる次の峯くらいはかろうじて見える時もありましたが、なだらかな地形のこの辺りは南側からガスが上がってきて、展望皆無です。

展望はありませんが、わずかながら縦走路からはずれたところに位置する黄嶺(Wong Leng)山頂は踏んできました。
山頂には例によって、香港のピークに立ててある太いコンクリート製の円柱がありました。

黄嶺(Wong Leng)山頂

黄嶺(Wong Leng)山頂

屏風山(Ping Hung Shan)付近から黄嶺(Wong Leng)方面を見る

屏風山(Ping Hung Shan)付近から黄嶺(Wong Leng)方面を見る

稜線の南側は鋭く切れ落ち、反対に北側は海までなだらかな尾根や谷が続いていることは地形図から安易に想像できますので、天気が良ければ屏風山(Ping Hung Shan)あたりが絶好のビューポイントでしょうね。

屏風山(Ping Hung Shan)の西端付近で丹竹抗(Tan Chuk Hang)への分岐を左へルートをとると急な下り坂になります。
香港のトレイルでは急な勾配のあるトレイルはもちろん、緩く広いトレイルでも往々にしてコンクリートや大きな石を積み上げて整備されているトレイルが沢山あります。

でも、ここのトレイルは違います。
そのように整備されているのは八仙嶺(Pat Sin Leng)の稜線の一部だけで、ほとんどの部分が土や元来からの石や岩の上を歩けるのです。
ですから、ここのような、いかにも登山道らしい急な下りを香港で下るのは初めてのような気がしました。

しばらく歩くと川の源流部でしょうか、小さな沢が現れました。これも初めてのことです。

コンクリート製の小さな橋

コンクリート製の小さな橋

澄んだ水

澄んだ水

沢といっても日本のように絶えず流れているようではなく、降水後にのみ流れるように見えましたが、ここ数日は天気があまり良くないせいか、沢にはきれいな水がたまっていました。

そこで、このきれいな水を見て、仙姑峯(Hsien Ku Hung)からほぼ同行だった例の青年に聴いてみました。
「この水、飲めますか?」
日本人とすれば、山中できれいな水を見れば、その水をためらいなく飲むことは何の抵抗もありませんが、彼=香港の人たちにとってそんなことは到底ありえない、びっくりしたような様子で返事が返ってきました。
「ダメ、ダメ

ところが変われば生活習慣はずいぶん違うものです。
『郷に入れば郷に従え』
もちろん口にしませんでした。

さらに急坂を下ると、これから下る池が右手に見えてきます。鶴藪水塘(Hok Tau reservoir)です。
ブーメランのような形をしているのですぐにそれと分かりました。

天気が良ければ、ここから見上げる屏風山(Ping Hung Shan)はさぞかし見栄えするだろうなと思っても、相変わらずのガスで展望はありません。

平山仔(Ping Shan Chai)方面を見下ろす

平山仔(Ping Shan Chai)方面を見下ろす

鶴藪水塘(Hok Tau Reservoir)池畔へ下山

鶴藪水塘(Hok Tau Reservoir)池畔へ下山

あとは道なりに歩けば、そこへと導かれます。
池畔の東屋でしばらく休んだら、彼と一緒に鶴藪(Hok Tau)方面に向かいます。

ここでも人影はまばらで、香港にいるとは信じられない風景が目の前にはあります。
水面や照葉樹を揺らす風が心地よく吹いています。
鶴藪水塘((Hok Tau Reservoir)

鶴藪水塘((Hok Tau Reservoir)

さらに九龍坑山(Cloudy Hill)を経て大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)まで行くという彼とは堰堤で別れ、その後も管理道路を下って行きます。
あの三人組とも、いつの間にか別れ別れになってしまっていたのは、少し残念な気がしました。
鶴藪(Hok Tau)の野営地付近はこれまでの山中の光景にも増して、さらに香港らしからぬ場所でした。

辺りには家畜の飼料のようなにおいが漂い、野鳥の飼育をしているのか鳥の大きな鳴き声が聞こえてきます。
植物を栽培しながら鑑賞もできるラベンダー・ガーデンという観光植物園があり、付近では果物も栽培されているよかのような畑もみかれられました。

折からの悪天でガスが立ち込め、辺りが幻想的な雰囲気だったことが余計にらしからぬ場所と思わせたのでしょう。

ラベンダー・ガーデン

ラベンダー・ガーデン

鶴藪圍(Hok Tau Wai)

鶴藪圍(Hok Tau Wai)

鶴藪圍(Hok Tau Wai)でミニバスを待つうち、雨が降りだし、粉嶺(Fan Ling)に近づく頃にはすっかり本降りです。

粉嶺(Fan Ling)でMTRに乗り換え深圳(Shenzhen Shi)方面からの来た列車に乗り込むと、大きな荷物を携えた人が目に着きます。

その多くは終点の紅磡(Hung Hom )まで乗車することなく、それまでの大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)や沙田(Sha Tin)、九龍塘(Kowloon Tong)で下車して行きました。

きっと、それらは下町で売るための商品だったのでしょう。
それぞれの地域での暮らしぶりを目の当たりすると、その都度、色んな事を感じずにはいられません。

九龍(Kowloon)に戻ると、そこは人であふれています。
きっとこの人たちも今日を生きるため頑張っているに違いありません。

ホテルにも今日を精いっぱい生きている人たちがいました。

前日の
南涌(Nam Chung)、鹿頸(Luk Keng)、新娘潭(Bride's Pool)トレックはこちら
アルバムはこちら
◆ みんなで香港に行ってきた
※参考コースタイム(基本的に休憩時間は含みません)
大美督(Tai Mei Tuk)=15min=船灣郊野公園遊客中心(Plover Cove Countory Park Visitor Center)
=40min=八仙嶺(Pat Sin Leng)自然教育径・T字路=20min=八仙嶺(Pat Sin Leng)・仙姑峯(Hsien Ku Hung)
=35min=八仙嶺(Pat Sin Leng)・純陽峯(Shun Yeung Hung)=35min=黄嶺(Wong Leng)
=30min=丹竹抗(Tan Chuk Hang)分岐=35min=平山仔(Ping Shan Chai)分岐
=5min=鶴藪水塘(Hok Tau Reservoir)池畔・東屋=45min=鶴藪圍(Hok Tau Wai)
※参考文献および地図
香港自然散策
郊區地圖(Countoryside Series)
新界東北及中部(North East & Central NT)

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・・・つづきを見る

2009年1月6日

02/01/09 Tai Mo Shan(大帽山)、Grassy Hill(草山)、Needle Hill(針山)

パタゴニア

荃錦公路(Route Twisk)の登山口から香港の最高峰・大帽山(Tai Mo Shan)に登り、鉛礦凹(Lead Mine Pass)を経て草山(Grassy Hill)へ登り返したあと、三角ピークの針山(Needle Hill)を経て城門水塘(Shing Mun Reservoir)までぐるりと歩いてきました。

このルートは距離的には少し長いですが、稜線上からならほぼ、どの地点からも眺望を得られ終始快適な歩行ができる素晴らしいルートです。
(画像の詳細はマウスポインタを画像上にあてると表示されます)

部屋の窓越しに朝のヴィクトリア・ハーヴァーの風景を見たらホテルをあとにします。

朝のヴィクトリア・ハーヴァー
まず、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)から荃彎(Tsuen Wan)までMTRに乗車。

荃彎(Tsuen Wan)で下車したら荃錦凹(Tsuen Kam Au)行きのバスに乗るため如心広場のバス乗り場まで市街地を歩きます。

站(Station)を出てすぐは方角が分からなくなり少し悩みましたが、街頭にいたおまわりさんが親切に教えてくれたお陰で、以降は下町の朝の様子を楽しみながらそこまでのんびり歩くことができました。

荃彎西(Tsuen Wan Weat)、如心廣場のTeddy Tower(中央左)とNina Tower(左)を見上げる
禾笛街(Wo Tik Street)
今では珍しくなった二階建てでないバスに乗り市街地を抜けると、急な峠道となった荃錦公路(Route Twisk)を走ります。

しばらく走り、荃錦凹(Tsuen Kam Au)のバス停で下車したら反対車線のバス停脇から山行のスタートです。

わずか30分足らずバスに乗車しただけで、そこはすっかり山の中です。

歩き出すとすぐに大帽山郊野公園遊客中心(Tai Mo Shan Country Park Visitor Center)に出くわしますが、あいにく土、日、祝日だけのオープンとのことで平日の今日は閉まっていました。残念。

再度、歩きだしてしばらくすると潅木を抜け荃彎(Tsuen Wan)方面の展望を得られるようになります。

香港の山では、登山口から歩き出してしばらくすると樹木がなくなり展望を得ながら歩けるのも大きな魅力で、ここも同様です。

全体的に霞んではいますが、それでも青衣(Tsing Yi)島やその向こうの青馬大橋(Tsing Ma Bridge)もかろうじて見えます。

青衣(Tsing Yi)、荃彎(Tsuen Wan)方面を見晴るかす
丘の上に上がると目の前に大きな山容の大帽山(Tai Mo Shan)が目に飛び込んできます。予想外の大きさに圧倒されます。

大帽山(Tai Mo Shan)
左手には住宅が点在する街並みと、その向こうにきれいな形をしたお椀を伏せたような山が見えています。

ここから見る風景はこれまで目にしたことのない街並みや山並みだったので、このときはそれがどこか分かりませんでしたが、あとで調べてみると錦田(Kam Tin)方面と雞公嶺(Kai Kung Leng)のようでした。

この風景は日本で見るそれとはまったく違っていたことはもちろんですが、香港(Hong Kong)や九龍(Kowloon)で見る風景とも違う、奥行きのある広がりのある景色の中に街並みや山がある、雄大な大陸的な光景だったことにひどく驚かされました。

錦田(Kam Tin)方面と雞公嶺(Kai Kung Leng)
このあと、もうひとつびっくりしたことがありました。
昨年2月に14歳でこの世を去った我が家の愛犬にそっくりのシベリアン・ハスキーに出会ったのです。

あまりに似ていたので、あの世からこの地に舞い降りて、わざわざこの香港まで会いに来てくれたのかと思ったほどでした。

シベリアン・ハスキー
遥かに青馬大橋(Tsing Ma Bridge)が見えた
管理道路を歩くようになりゲート脇をすり抜けもうしばらく車道を歩いたら、左手の直登ルートを進みます。
車道歩きは面白くありません。

登山路を急登して、山頂の北側の小さい方のアンテナまで登ったら管理施設のフェンスに沿って歩きます。

着いた南側の大きなアンテナのところがピークのようですが香港の山の山頂には必ずある、あの太いコンクリート製の円柱がここにはなく、それの代わりにとんでもなくバカでかいアンテナがあるだけです。

山頂の景観が他とはまったく違うのです。

それがためではないでしょうが香港最高峰の山にしては人に遭わず、これまでに出会った人はわずか3人で寂しいばかりです。

いくら今日が平日とはいえ、会ったのがハスキーを散歩がてらに来られていたご夫婦と管理道路の巡回に来ていた白バイ隊員だけですから、これではちょっと寂しすぎます。

登山に来ていたのは日本から来た自分だけということになりますから・・・。

大帽山(Tai Mo Shan)山頂の巨大アンテナ
それはそれでいいとして、ピーク付近からの眺望は新界(New Territories)のほぼ中央に位置する香港の最高峰だけあって、素晴らしいのひとことです。

ちょっと風はありますが天気も最高で、そんなことはどうでもよくなりました。

アンテナの南側に立てば東から南西にかけてぐるりとよく見えます。

草山(Grassy Hill)~針山(Needle Hill)の稜線と西貢東郊野公園(Sai Kung East Country Park)の山々
東に見える稜線はこれから向かう予定の稜線でしょう。右端の三角が針山(Needle Hill)でしょうからそのはずです。

その奥には馬鞍山(Ma On Shan)~水牛山(Buffalo Hill)や飛鵝山(Kowloon Peak)方面と、さらに右に見える獅子山(Lion Rock)はその山容からすぐそれと分かります。

針山(Needle Hill)と獅子山(Lion Rock)、飛鵝山(Kowloon Peak)方面
南には、さすがに香港島までは見えませんでしたが九龍站(Kowloon Station)近くに建設中の超高層ビルはかすかに見えていました。

葵涌(Kwai Chung)方面
南西は青衣(Tsing Yi)島に架かるつり橋や、かすかに青馬大橋(Tsing Ma Bridge)。

九龍站(Kowloon Station)方面
しばらく景観を楽しんだら歩きだします。
山頂下からは再び車道を歩かなければならないのであまり面白くありませんが、眺望抜群なので許すとしましょう。

山頂の東斜面を見るようになると、その斜面に息づく素晴らしい林に目を奪われました。

南や西斜面の様相とはまったく違い、見事な照葉樹が斜面一帯、下方まで茂っていました。

784peak(左)と草山(Grassy Hill)
針山(Needle Hill)と獅子山(Lion Rock)
東屋まで来るとようやくコンクリートの車道から開放され、土の道を歩けるようになります。

このあと鉛礦凹(Lead Mine Pass)の下りに掛かるまでは四方の景観を楽しみながらの稜線漫歩です。

やがて右下方に城門水塘(Shing Mun Reservoir)が見え出す
大帽山(Tai Mo Shan)を振り返る
この稜線上でようやく何人かの登山者とすれ違いました。

痛ましい焼け跡(前方は草山(Grassy Hill))
無残な焼け跡を見ると急な下り坂となり、しばらくすると鉛礦凹(Lead Mine Pass)に着きます。

鉛礦坳(Lead Mine Pass)
ここで、このあとの草山(Grassy Hill)へ向けての登り返しに備え腹ごしらえするうち何人かの人に会ったので、少し話しました。

そのときの様子は・・・、
どの人もまず、決まって広東語で喋りかけてきます。
「#*%∮ё∮ξ・・・?」

もちろん、こちらは何を言っているのかまったく分かりませんからその旨伝えると、ようやく英語で話しかけてくれるようになります。

英語でもわずかしか理解できませんが、まったく理解できない広東語に比べるとずいぶんマシで、何とか意思疎通できるようになり大変うれしい思いをしました。

そんな中、こんな人がいました。
例によって広東語で話しかけてきたので、
「Sorry,I cannot speak chinese.」
と伝えると、なぜかそのあと、
「Are you an Indonesian?」
と何度も聞き返すのです。

もちろん
「No,no! I'm a Japanese.」
と答え、そのうえで英語で少し話したあとその人とは別れたのですが、いくらなんでもこんなところでインドネシア人と間違えられるとは思ってもみませんでした。

それにしても、ある香港人から見ると自身はインドネシア人に見えるのでしょうか?
何だか、ちょっとショックです・・・。

峠から急坂を登りきってたどり着く草山(Grassy Hill)からの展望は、大帽山(Tai Mo Shan)からのものよりもさらに素晴らしく360度の大展望です。

この山頂には白黒の円柱以外、何もありません。

草山(Grassy Hill)より大帽山(Tai Mo Shan)
振り返れば大帽山(Tai Mo Shan)が大きな姿で居座るのが見渡せ、正面(東)の馬鞍山(Ma On Shan)、水牛山(Buffalo Hill)はずいぶん近くに見えるようななりました。

眼下には沙田(Sha Tin)の街並みや、そこのシンボルの競馬場もビルの合い間に見え、左手には大埔(Tai Po)の街並みや吐露港(Tolo Harbour)も見えています。

沙田(Sha Tin)の街並みと馬鞍山(Ma On Shan)~水牛山(Buffalo Hill)稜線
南に見えるのはこれから向かう針山(Needle Hill)へと続く稜線や城門(Shing Mun)谷に輝く城門水塘(Shing Mun Reservoir)。

城門水塘(Shing Mun Reservoir)と葵涌(Kwai Chung)市街
お猿さん
またまた、しばらくコンクリートの車道を歩いたあと、針山(Needle Hill)山頂で最後の展望を楽しんだら下山です。

針山(Needle Hill)山頂より大圍(Tai Wai)市街と獅子山(Lion Rock)、飛鵝山(Kowloon Peak)
急な登山路を足元に気をつけながら下ります。

やがて展望はなくなりますが、下山して堰堤上を歩くようになると今日の山行の最後のご褒美に素晴らしい光景を見ることができました。

まるで鏡のような穏やかな水面に大帽山(Tai Mo Shan)の見事な勇姿が写っていたのです。

城門水塘(Shing Mun Reservoir)堰堤より大帽山(Tai Mo Shan)

今日の山行の最後に見たのは、ここが香港だとは決して想像できない静寂に包まれた光景でした。

バスに乗りホテルに近づくにつれ、街は溢れんばかりのネオンに包まれます。

部屋に戻り窓の外に目をやると、そこには摩天楼群きらめく誰もが知る大都会・香港の光景がありました。

※参考コースタイム(基本的に休憩時間は含みません)
荃錦公路(Route Twisk)登山口=70min=大帽山(Tai Mo Shan)

=110min=鉛礦凹(Lead Mine Pass)=30min=草山(Grassy Hill)

=55min=針山(Needle Hill)=25min=水塘(Reservoir)堰堤

※参考文献および地図
香港自然散策

郊區地圖(Countoryside Series)
新界北西部(North West New Territories)
新界東北及中部(North East & Central NT)

◆ 機上から見た香港(Hong Kong)

◆ みんなで香港に行ってきた

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