2009年1月6日

02/01/09 Tai Mo Shan(大帽山)、Grassy Hill(草山)、Needle Hill(針山)

パタゴニア

荃錦公路(Route Twisk)の登山口から香港の最高峰・大帽山(Tai Mo Shan)に登り、鉛礦凹(Lead Mine Pass)を経て草山(Grassy Hill)へ登り返したあと、三角ピークの針山(Needle Hill)を経て城門水塘(Shing Mun Reservoir)までぐるりと歩いてきました。

このルートは距離的には少し長いですが、稜線上からならほぼ、どの地点からも眺望を得られ終始快適な歩行ができる素晴らしいルートです。
(画像の詳細はマウスポインタを画像上にあてると表示されます)

部屋の窓越しに朝のヴィクトリア・ハーヴァーの風景を見たらホテルをあとにします。

朝のヴィクトリア・ハーヴァー
まず、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)から荃彎(Tsuen Wan)までMTRに乗車。

荃彎(Tsuen Wan)で下車したら荃錦凹(Tsuen Kam Au)行きのバスに乗るため如心広場のバス乗り場まで市街地を歩きます。

站(Station)を出てすぐは方角が分からなくなり少し悩みましたが、街頭にいたおまわりさんが親切に教えてくれたお陰で、以降は下町の朝の様子を楽しみながらそこまでのんびり歩くことができました。

荃彎西(Tsuen Wan Weat)、如心廣場のTeddy Tower(中央左)とNina Tower(左)を見上げる
禾笛街(Wo Tik Street)
今では珍しくなった二階建てでないバスに乗り市街地を抜けると、急な峠道となった荃錦公路(Route Twisk)を走ります。

しばらく走り、荃錦凹(Tsuen Kam Au)のバス停で下車したら反対車線のバス停脇から山行のスタートです。

わずか30分足らずバスに乗車しただけで、そこはすっかり山の中です。

歩き出すとすぐに大帽山郊野公園遊客中心(Tai Mo Shan Country Park Visitor Center)に出くわしますが、あいにく土、日、祝日だけのオープンとのことで平日の今日は閉まっていました。残念。

再度、歩きだしてしばらくすると潅木を抜け荃彎(Tsuen Wan)方面の展望を得られるようになります。

香港の山では、登山口から歩き出してしばらくすると樹木がなくなり展望を得ながら歩けるのも大きな魅力で、ここも同様です。

全体的に霞んではいますが、それでも青衣(Tsing Yi)島やその向こうの青馬大橋(Tsing Ma Bridge)もかろうじて見えます。

青衣(Tsing Yi)、荃彎(Tsuen Wan)方面を見晴るかす
丘の上に上がると目の前に大きな山容の大帽山(Tai Mo Shan)が目に飛び込んできます。予想外の大きさに圧倒されます。

大帽山(Tai Mo Shan)
左手には住宅が点在する街並みと、その向こうにきれいな形をしたお椀を伏せたような山が見えています。

ここから見る風景はこれまで目にしたことのない街並みや山並みだったので、このときはそれがどこか分かりませんでしたが、あとで調べてみると錦田(Kam Tin)方面と雞公嶺(Kai Kung Leng)のようでした。

この風景は日本で見るそれとはまったく違っていたことはもちろんですが、香港(Hong Kong)や九龍(Kowloon)で見る風景とも違う、奥行きのある広がりのある景色の中に街並みや山がある、雄大な大陸的な光景だったことにひどく驚かされました。

錦田(Kam Tin)方面と雞公嶺(Kai Kung Leng)
このあと、もうひとつびっくりしたことがありました。
昨年2月に14歳でこの世を去った我が家の愛犬にそっくりのシベリアン・ハスキーに出会ったのです。

あまりに似ていたので、あの世からこの地に舞い降りて、わざわざこの香港まで会いに来てくれたのかと思ったほどでした。

シベリアン・ハスキー
遥かに青馬大橋(Tsing Ma Bridge)が見えた
管理道路を歩くようになりゲート脇をすり抜けもうしばらく車道を歩いたら、左手の直登ルートを進みます。
車道歩きは面白くありません。

登山路を急登して、山頂の北側の小さい方のアンテナまで登ったら管理施設のフェンスに沿って歩きます。

着いた南側の大きなアンテナのところがピークのようですが香港の山の山頂には必ずある、あの太いコンクリート製の円柱がここにはなく、それの代わりにとんでもなくバカでかいアンテナがあるだけです。

山頂の景観が他とはまったく違うのです。

それがためではないでしょうが香港最高峰の山にしては人に遭わず、これまでに出会った人はわずか3人で寂しいばかりです。

いくら今日が平日とはいえ、会ったのがハスキーを散歩がてらに来られていたご夫婦と管理道路の巡回に来ていた白バイ隊員だけですから、これではちょっと寂しすぎます。

登山に来ていたのは日本から来た自分だけということになりますから・・・。

大帽山(Tai Mo Shan)山頂の巨大アンテナ
それはそれでいいとして、ピーク付近からの眺望は新界(New Territories)のほぼ中央に位置する香港の最高峰だけあって、素晴らしいのひとことです。

ちょっと風はありますが天気も最高で、そんなことはどうでもよくなりました。

アンテナの南側に立てば東から南西にかけてぐるりとよく見えます。

草山(Grassy Hill)~針山(Needle Hill)の稜線と西貢東郊野公園(Sai Kung East Country Park)の山々
東に見える稜線はこれから向かう予定の稜線でしょう。右端の三角が針山(Needle Hill)でしょうからそのはずです。

その奥には馬鞍山(Ma On Shan)~水牛山(Buffalo Hill)や飛鵝山(Kowloon Peak)方面と、さらに右に見える獅子山(Lion Rock)はその山容からすぐそれと分かります。

針山(Needle Hill)と獅子山(Lion Rock)、飛鵝山(Kowloon Peak)方面
南には、さすがに香港島までは見えませんでしたが九龍站(Kowloon Station)近くに建設中の超高層ビルはかすかに見えていました。

葵涌(Kwai Chung)方面
南西は青衣(Tsing Yi)島に架かるつり橋や、かすかに青馬大橋(Tsing Ma Bridge)。

九龍站(Kowloon Station)方面
しばらく景観を楽しんだら歩きだします。
山頂下からは再び車道を歩かなければならないのであまり面白くありませんが、眺望抜群なので許すとしましょう。

山頂の東斜面を見るようになると、その斜面に息づく素晴らしい林に目を奪われました。

南や西斜面の様相とはまったく違い、見事な照葉樹が斜面一帯、下方まで茂っていました。

784peak(左)と草山(Grassy Hill)
針山(Needle Hill)と獅子山(Lion Rock)
東屋まで来るとようやくコンクリートの車道から開放され、土の道を歩けるようになります。

このあと鉛礦凹(Lead Mine Pass)の下りに掛かるまでは四方の景観を楽しみながらの稜線漫歩です。

やがて右下方に城門水塘(Shing Mun Reservoir)が見え出す
大帽山(Tai Mo Shan)を振り返る
この稜線上でようやく何人かの登山者とすれ違いました。

痛ましい焼け跡(前方は草山(Grassy Hill))
無残な焼け跡を見ると急な下り坂となり、しばらくすると鉛礦凹(Lead Mine Pass)に着きます。

鉛礦坳(Lead Mine Pass)
ここで、このあとの草山(Grassy Hill)へ向けての登り返しに備え腹ごしらえするうち何人かの人に会ったので、少し話しました。

そのときの様子は・・・、
どの人もまず、決まって広東語で喋りかけてきます。
「#*%∮ё∮ξ・・・?」

もちろん、こちらは何を言っているのかまったく分かりませんからその旨伝えると、ようやく英語で話しかけてくれるようになります。

英語でもわずかしか理解できませんが、まったく理解できない広東語に比べるとずいぶんマシで、何とか意思疎通できるようになり大変うれしい思いをしました。

そんな中、こんな人がいました。
例によって広東語で話しかけてきたので、
「Sorry,I cannot speak chinese.」
と伝えると、なぜかそのあと、
「Are you an Indonesian?」
と何度も聞き返すのです。

もちろん
「No,no! I'm a Japanese.」
と答え、そのうえで英語で少し話したあとその人とは別れたのですが、いくらなんでもこんなところでインドネシア人と間違えられるとは思ってもみませんでした。

それにしても、ある香港人から見ると自身はインドネシア人に見えるのでしょうか?
何だか、ちょっとショックです・・・。

峠から急坂を登りきってたどり着く草山(Grassy Hill)からの展望は、大帽山(Tai Mo Shan)からのものよりもさらに素晴らしく360度の大展望です。

この山頂には白黒の円柱以外、何もありません。

草山(Grassy Hill)より大帽山(Tai Mo Shan)
振り返れば大帽山(Tai Mo Shan)が大きな姿で居座るのが見渡せ、正面(東)の馬鞍山(Ma On Shan)、水牛山(Buffalo Hill)はずいぶん近くに見えるようななりました。

眼下には沙田(Sha Tin)の街並みや、そこのシンボルの競馬場もビルの合い間に見え、左手には大埔(Tai Po)の街並みや吐露港(Tolo Harbour)も見えています。

沙田(Sha Tin)の街並みと馬鞍山(Ma On Shan)~水牛山(Buffalo Hill)稜線
南に見えるのはこれから向かう針山(Needle Hill)へと続く稜線や城門(Shing Mun)谷に輝く城門水塘(Shing Mun Reservoir)。

城門水塘(Shing Mun Reservoir)と葵涌(Kwai Chung)市街
お猿さん
またまた、しばらくコンクリートの車道を歩いたあと、針山(Needle Hill)山頂で最後の展望を楽しんだら下山です。

針山(Needle Hill)山頂より大圍(Tai Wai)市街と獅子山(Lion Rock)、飛鵝山(Kowloon Peak)
急な登山路を足元に気をつけながら下ります。

やがて展望はなくなりますが、下山して堰堤上を歩くようになると今日の山行の最後のご褒美に素晴らしい光景を見ることができました。

まるで鏡のような穏やかな水面に大帽山(Tai Mo Shan)の見事な勇姿が写っていたのです。

城門水塘(Shing Mun Reservoir)堰堤より大帽山(Tai Mo Shan)

今日の山行の最後に見たのは、ここが香港だとは決して想像できない静寂に包まれた光景でした。

バスに乗りホテルに近づくにつれ、街は溢れんばかりのネオンに包まれます。

部屋に戻り窓の外に目をやると、そこには摩天楼群きらめく誰もが知る大都会・香港の光景がありました。

※参考コースタイム(基本的に休憩時間は含みません)
荃錦公路(Route Twisk)登山口=70min=大帽山(Tai Mo Shan)

=110min=鉛礦凹(Lead Mine Pass)=30min=草山(Grassy Hill)

=55min=針山(Needle Hill)=25min=水塘(Reservoir)堰堤

※参考文献および地図
香港自然散策

郊區地圖(Countoryside Series)
新界北西部(North West New Territories)
新界東北及中部(North East & Central NT)

◆ 機上から見た香港(Hong Kong)

◆ みんなで香港に行ってきた

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