鏡平上部より望む穂高連峰と焼岳、乗鞍岳
新穂高・深山荘登山者用駐車場
今宵の寝床はこの灯りの内
解る人に言わせれば、ある意味、敗退的山行ですね。
もちろん目的は双六岳であり双六カールを滑ることでしたが、大ノマ乗越に着いて目にした双六岳の雪付きの悪さに、一気にテンションだだ下がりでネイチャースキーを愉しむことに気持ちを切り替えてしまいました。
目にした双六岳の寡雪ぶりには驚かされた
右上するのが双六谷で南峰の左肩に小さく黒部五郎岳がみえる
のちに目にした状態では双六岳山頂からでも雪を拾えば双六谷まで滑走は可能のようでしたが、見る限りかなりリスキーなシチュエーションもありそうに見えたので納得です。
秩父沢の登行
デブリは大したことがなくて助かったが大ノマ乗越までは長くて遠い
ようやく着いた感満載の大ノマ乗越にて大キレット~穂高連峰
ここから双六谷までの標高差200mは、それなりの斜度なれど雪質上々で、距離は短いながら滑走はそれなりに楽しめる。
雪割れの双六谷と大ノマ岳
雪割れした双六谷でのひと時は、まるで砂漠の中に突如現れたオアシスのようで、ほんの短い時間ながらこれまでにないロケーションとシチュエーションを独占して、とても贅沢で優雅な時間を過ごせました。
金木戸川源流の流れと双六岳頂稜台地
青空に映えるダケカンバが美しい
やや狭くてスケールも小さいながら黒部源流によく似た雰囲気の双六谷上部。
出合から双六池までの標高差は300mあるから斜度はそこそこある。
この後、双六カールの登行はキャンセル、双六池まで登行することなく右折し弓折岳北部稜線に上がる。
北に鷲羽岳と水晶岳
樅沢岳南で弓折岳稜線に乗ると槍~穂高連峰が素晴らしい景観で迎えてくれる。
稜線というステージの上に立った瞬間、槍~穂高連峰の壮大な景観が眼に飛び込む
北鎌尾根上部~槍ヶ岳~大喰岳~中岳と西鎌尾根、中崎尾根、飛騨沢
かつて今日と同じように、ここから見た残雪の飛騨沢に憧憬の念を持ったことを想い出す。
中岳・中の沢に忘れたであろうシールは今もあるだろうか?
大観が眼の前にあってもキツイのはキツイ
中岳~南岳、大キレット~北穂高岳~涸沢岳~奥穂高岳~ジャンダルム
大キレット~北穂高岳~涸沢岳~奥穂高岳~ジャンダルム~西穂高岳・独標付近まで
手前稜線は中崎尾根と、ここでも不遇な存在の奥丸山
ただ、ここから弓折岳までは小さいながらアップダウンが幾度かあり意外と近くない。(雪切れ二か所あり、スキー脱ぐ)
この稜線上の二か所のピークにひと張りづつテントが張ってあった。
弓折岳ピークにも、ふた張りのテント。見下ろす鏡平にも緑色のテントが確認できる。
どのテントも素晴らしいロケーションで、いい夜が過ごせたにちがいない。
鏡平に張られたひと張りのテント
中央、左寄り
弓折岳からの斜面は槍~穂高連峰を正面に見て最高のロケーション。
(スキーヤーとなった本人には見えないが・・・)
雪の状態は山頂直下がベストだったが、すぐに終わりレフトに回り込み熊の踊り場を見下ろすようになると素晴らしい縦溝。
さいわい、この時間になると雪は緩んでいてシュプールも皆無だったので適当にざく切りにしてやった。
鏡平や熊の踊り場から弓折岳東面の縦溝は造形美を形成するほどすごい
秩父沢のそれは、縞模様のスパンが大きく溝も深い
昨日、熊の踊り場ではその名を地で行く熊がうろついていたと弓折岳のテントの一人の人から聴いたので、あたりを注意しながらもぐるりと取り囲む縦溝のオンパレードを楽しむ。
広い秩父沢に合流しても縦溝は終わるはずはなく、どちらかといえば傾斜が緩いのがせめてもの救いほどで、大きく深いそれに滑りにくさはさらに増す。
うねりに身を任せて滑るのみ。
立ち止まり見下ろすと、出合いの橋はまだまだ先の下の方。
秩父沢の出合い付近だろうか、左正面に奥丸山稜線の奥に槍ヶ岳~穂高連峰が最後に見える場所があるので、眼前に広がる光景を家族とシェアしながら長居。
ここでもう少し待って、黄昏て紅くなりそうな穂高の山々を見るのもイイかな、とも思ったが明るいうちの下山がリスクマネジメント。
安全を優先し、しばらくしたら重い腰を上げる。
事実、滑りに関しての危険性はこの辺りを過ぎてから出合橋までの下部のデブリ地帯のほうが高く、難しかった。
秩父沢から最後に見た穂高連峰
これくらいの標高の目線では西穂稜線の存在感がある
奥穂高岳~馬の背~ロバの耳~ジャンダルム
手前は涸沢岳西尾根・蒲田富士稜線と林の中崎尾根
弓折岳山頂から林道出合いまで、の~んびりしながらでも1時間ほどで下れるのはスキーならでは。
林道はアプローチシューズで、トボトボ下山。
稜線にいる人にはどんな光景が見えているのだろう
左俣林道でみたアーベントロートの焼岳
こちらは遅々として進まないものの、
「弓折稜線の、もう少しでも北の位置から左俣に飛び込んでいればもっと充実した山行になっただろうか。」
その場に身を置くとなかなかそうも行かないのが現実で、素晴らしい景色との出逢いと無事の下山で何より。
HPは ようこそ『山のアルバム』へ
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