振子沢源頭部より見下ろす振子沢
振子沢を滑り、本沢出合まで下ったとき、事故現場に遭遇した。
現場は、我々が朝、鳥越峠から地獄谷本沢へ下る際滑降した小さな谷。
概ね振子沢に向かう際はここを下ってくることが多い。
距離的には短いながら傾斜はそれなりで、下方では40度近いかもしれない。
上部から覗いてみると、下方で雪割れは確認できたものの切れている様子はなく、いつものとおり下ることにした。
見たとおり、中央部に小さいながらクラックがあり注意する。
雪は状態がよく安定していたのでこれを避けながら難なく下ることができた。
スキーならでは。
振子沢出合でハイクの準備をしていると、上部からこの谷を覗きこんでいる単独の登山者が見えた。
「ちょっとまずくない。」
こんな感じで見上げることしばし、登山者はかなり苦労しながらも中央や、左右の穴を避けながら何とか下ってきた。
ツボ足だった。
で、帰路、再度この場所に達すると、まさにその「まずくない!?」ところで事故が起こっていた。
本沢右岸の事故現場 右上が槍尾根
画像左端の小さな谷で滑落、シュルンドに二人が転落
雪上にはシュルンドへと吸い込まれるように滑ったような痕が残っていた。
もしかしてここでシリセード?
いくらなんでもそれはないと思うが、彼ら6‐~7人パーティーのようだが、いくらなんでもその人数があそこを下れば、すぐに雪はグサグサになるのは想像できなかっただろうか。
それに、一人が滑落でもしようものなら連鎖的にみんなアウト。
運が良ければ、上手く本沢に滑り着けたかもしれないが、下から見ると(彼らからみて)右ターンしないと雪は拾えず、普通に考えると無理。
この沢を下ろうとしたことがミスだったと思うが、窮地に立つ前に登り返すか、あるいはバックステップで下ることを提案していれば事なきを得たように思う。
雪上遊びする祭、お尻に敷くビニール製の遊具が見えたので、もし振子沢で遊ぶ予行演習をここでやろうなんて考えていたら・・・、そうでなくとも、予期せぬところに大きな穴があったに違いない。
梢の先に防災ヘリ(中央右)
こうやって見ると決死の救出劇
現場は人里離れた深い沢沿いなので携帯は通じない。
防災ヘリが飛来するまでに約1時間。
後には鳥取、島根それぞれの防災ヘリと県警ヘリの3機が空中を舞う大事になった。
ピックアップするのに、それからさらに数十分。
鳥越峠へのハイク中に幾度となく空中を舞うヘリを見たが、さすがに目線より低い位置の、それも狭い谷底を飛ぶさまはパイロットにとって危険極まりなく、上から見ているとハラハラ、ドキドキだった。
幸いは当人が重症ながら怪我で済んだことだが、ちょっとした気の緩み、不注意で多くの人に迷惑をかける行為は山だけに限らず一般社会でも同じ。
今後も自己の戒とすべき事故に遭遇した振子沢ツアーだった。
ツアーの様子は こちら
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