2009年9月23日
20~22/09/09 一期一会・槍平小屋にて
今回の槍平小屋訪問は(あ)が小二の時、双六から槍に登った帰路に立ち寄って以来のことで、小屋のご主人沖田さんと9年ぶりに会うこととなったばかりか、つい一ヶ月ほど前のお盆の穂高山行の際に出会ったある人とも再会することとなる、想い深いものとなった―。
9月20日朝、新穂高をあとにしたら蒲田川・右俣林道を進む。
穂高平の放牧場をみて、先月、奥穂へ向かった際に利用した白出沢のルート分岐の先で林道は終わる。
白出沢から見上げるとジャンダルム方面が遥かに高い。
「よくもあんなところまで行けたものだ。」
と同時に
「これから、ほぼあの高みまで行かなければ・・・。」
これからは登山路を行くが傾斜は緩い。
チビ谷を渡る頃には左手の右俣谷の流れは次第に足元近くを流れるようになり、やがて河原に出ると滝谷出合い。
雄滝はこの時期になってもまだ轟々と流れを落とす。
なるほど、その上には大きな雪渓と、それらを見下ろすかのようにドームが異様な形でそびえたつ。
左手の右俣谷はいつしか流れを小さくし、振り返れば蒲田富士や涸沢岳が見える。
南沢を渡り、もうしばらくして清流の流れる小さな小川に出合うと、そこは槍平の一角。
明るく開けたところを歩くと槍平小屋に着く。
以前ここを訪れた際は、このルートを下りで使ったためか、あるいは朝が早く日が差していなかったためか、こんなに明るく開放的なところだとは感じられずにいた。
当時は下りで使ったからか新穂高までずいぶん距離があるとの印象だったが、登りで利用して、ある程度の時間をかけてここまで来てみると槍平の良さをしみじみと感じられ、静寂のたたずまいの只中に身を置ける雰囲気の良さを感じずにはいられなかった。
到着直後はあたりの状況がよく把握できなかった。
というのも、かつては現小屋の正面左手(山側)に旧小屋があり、槍方面へは現小屋の正面を通り、これらの間の狭い通路のようなところを通って奥へと向かう記憶だったのに、今はなんだか様子が違って大きな桟敷のようなものが目に入ってきた。
「これは何だ~。」
とりあえず皆に習いその上に腰を下ろしてみる。
しばらく、この雰囲気を感じながら桟敷上にたたずむと、
「そうか、これは旧小屋を取り壊した後の床をそのまま桟敷のようにして使っているんだ。」
ようやく理解できた頃、小屋付近をうろうろする一人の人に目が行った。
「あれはこの小屋のご主人、沖田さん。」
以前一緒に写真を撮ってもらったので、これはきっちりと記憶に残っていた。
で、下の画像が2000年8月16日、宿泊した翌日、下山前に玄関前で一緒に撮ってもらった一枚。
沖田さんや自分自身が小さくなるはずはないので、この画像を見るとこの9年で(あ)が如何に成長したかがよくわかる半面、自身が歳を重ねて行くことに時の移ろいを感じさせられ少し悲しい。
小屋内に入ると、どのテーブルで何を料理して食べたかまでが見事によみがえる。
以前に自身のページの中のどこかで書いた記憶があるが、人の記憶は大したもので、何年経とうが当時と同じ光景に出くわすと瞬時に当時の記憶がよみがえりその場面にタイムスリップする。
見えるものは何一つと言っていいくらい変わりなく、9年という歳月が経っただけの光景が目の前にあった。
フロントにおられる沖田さんに声をかけると、以前の印象とは少し違う饒舌な沖田さんがそこに居られた。
当時は少しぶっきら棒な印象だったが、真っ先に永らくぶりに訪れたことを話したせいか、今回はずいぶんと違う気さくなイメージで、談笑中には2007年年末、小屋前で起こった雪崩事故のことや、これからの南岳新道のルート詳細を聴かせてもらえたことは大いに参考になった。
「ゆっくりでいいから、できるだけ休まずに歩くことが肝要。」
これからの急登に際してのアドバイスだった。
また、ある人がかつてこの小屋でバイトをしていたことを槍平小屋のHPをみて知っていたので、その人のことを聴いていた。
「あ~、彼なら新穂の駐車場が一杯らしいから、今、栃尾の家に車を置いて上がってきてるところだよ。」
まさかそんな事とは思わず話に出したことなのに、こんなことがあろうとは思ってもみないことが起こった。
彼とはお盆山行の際、北穂の小屋で出会った山渓の取材に同行していたカメラマン、K君だ。
この日は会えないままこちらが小屋を発ったが、結果的に下山時、再度、槍平小屋を訪れることとなり、北穂の小屋で出会ってからわずか一カ月後に再会することとなった。
彼と再会したのはそれから二日後だった。
霧雨混じりの曇天の中、ようやく南岳新道を下り切り小屋に入ると、フロントにはあわただしい様子の沖田さんが座っておられた。
「無事、下山してきました。」
挨拶を交わすと、間髪いれずフロントから奥に向かい声を掛けられた。
「KEITA~!(話してた親子が来てるぞ~)。」
このひと言は二人の関係の親密さを端的に表していた。
また、二日前、後に小屋に着いたK君に我々親子連れが尋ねたことを話しをされていたことの証しであり、どんな感覚で声を掛けられたにしろ、こちらが話したことをK君にきちんと話してくれたいたことが察知でき、とても嬉しい思いがした。
やがて奥から現れたK君は、当たり前ながら一ヶ月前に北穂で会ったK君だった。
もちろん、こちらとしてもこんなところで彼と会えるとは思ってなかったのだが、この出会いはこちらよりもむしろK君の方が驚きが大きかったようだ。
それもそのはず、彼にしてみればこちらの存在はその他大勢の内のたった二人に過ぎないのだから・・・。
しばらく話しをしたり小屋前で写真を撮ったりした後、黄葉の始まった槍平をあとにした。
今回の山行記 南岳、天狗原はこちら
Posted by (ま)。
Labels: photo, エクスペディション(日帰り以外の山行), テント泊山行, 山歩き、登山
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿