2015年5月7日

03-05/05/15 大喰岳から2本の滑走

パタゴニア

北アルプス、新穂高から槍平、飛騨沢を経て槍ヶ岳のピークに立った後、その南に位置する大喰岳から南東カールと、南岳との間に西の飛騨沢へと落ちる中ノ沢滑走しました。


穂高連峰と御嶽、乗鞍岳 大喰岳山頂にて

槍ヶ岳はどこから眺めてもカッコいい。

遠くからならシンボリックだったり、ランドマークだったり。

近くからなら穂先が鋭く天を突き、その大きさに圧倒されるばかりだが、南からのそれはちょっと右に首をかしげ表情を和らげているようにも見え、違った表情を見せてくれるところが、これまたイイ。

そんな大好きな山、槍ヶ岳に、今年もスキーを携え行ってきました。


槍平をあとに、しばらくすると穂高連峰、奥丸山の向こうに乗鞍岳が見えてくる


飛騨乗越手前で見かけたライチョウくん


ようやくたどり着きました、飛騨乗越
やや手前から雪切れしていて、まいりました


♫♫ヤリよ~り~た~か~い、鯉の~ぼ~り~♪♪♫
この時期、槍の肩では穂先の他に鯉のぼりも出迎えてくれます

一日目は何とか天気は持ったものの、二日目は一転、終日雨に降られ小屋に缶詰でしたが、翌日は晴れてくれました。

二年前にもみた、あの景観を再び見れたら文句はないはずでしたが、、、


二日後の朝、笠ヶ岳が良い表情を見せてくれました


もちろん、こちらも


時間の経過とともに、やや赤らみましたが、
これ以上は染まりませんでした


奥丸山、大木場の辻と新穂高温泉郷を覆う小さな雲海


テント場より富士山と南アルプス、甲斐駒ヶ岳、白峰三山
マイテントではありません

穂先へは三日目の朝、上がりました。

見てのとおりと小屋の人や実際に行ってきた人たちの情報を合わせると、穂先への登路に雪はなくハシゴやクサリも出ているようです。

一見、夏と同じと思いきや、そんなことはあるはずがありません。

曲者は一日中降っていた昨日の雨と、この地の標高と朝の気温です。

核心は最初でもあり最後でもあるクサリまでの部分。

岩が凍ってテラテラで、めっちゃ怖いです。


槍ヶ岳山頂


水晶岳(左端)をはじめとする裏銀座の山々と立山、剱方面


笠ヶ岳の彼方に白山がその名のとおり白く輝きます


しばらく独り占めだったあと、フランス人の彼と二人でした


大喰岳、中岳、南岳へと続く稜線と穂高連峰、彼方に乗鞍岳、御嶽
ハイクした日も、この日も御嶽に噴煙は見られないようでした


常念岳と遠く浅間山
常念乗越の下方に松本平が望めました


槍ヶ岳山荘全景と、不遇な奥丸山

自身にとって最もヤバかったのは小屋前の水たまりが凍ったところでしたけどね・・・。

もう少しでひっくり返るところでした。最後まで油断は禁物です。


大喰岳より


この時間になると早朝よりも天気、見通しがよくなり
笠ヶ岳~抜戸岳稜線の彼方に白山連山が茜色に輝いてよ~く見えました


水晶岳、野口五郎岳と肩の小屋の奥に立山


大槍、独標と燕岳方面


これぞ大喰岳を代表する景観
雪原と、とんがり頭


大喰岳にて

大喰カールの滑走は快適で、時間調整の甲斐がありました。

登ってくる際に出会った人からは、
「まだまだアイゼンの歯も刺さらないほど固いです。」

との情報もいただきましたが、この頃から陽も照りだしたこともあり、雪は次第に緩んでくれたようです。

かといって、あまりのんびりし過ぎると緩みすぎるのがいけないところ。

ちょうどいいタイミングで滑ることができました。


大喰岳山頂から南東カールを滑り、
東尾根に乗り上げると長躯、槍沢と大槍を望めました

本当は天狗原から槍を見たかったのですが、山頂から見下ろすと左に短いながら顕著な尾根が見えます。

「ここなら槍が見えるはず。」

バッチリでした。

滑走はあまりできませんでしたが、この景色を見れたら満足です。

それに、ここから槍を見た人はそう多くはないでしょうから、ことさらです。

この時期限定のコスパに優れた槍の展望台かもしれません。


中岳を背景に大喰カールを滑る後発のスキーヤー


大喰カールを下るスキーヤーと横尾尾根、屏風の頭
天狗原は中央を横切る岩尾根の陰で、ここからは見えていません

この尾根も、まだ雪が緩んでなくて山頂までシールで上がることができ、大いに助かりました。

あとはメインともいえる中ノ沢の滑走。

稜線の東面には雪はしっかり着いていますが、西面の中ノ沢を滑るには寡雪の今年、中岳の基部まで行かなければならず、少々煩わしさを伴います。


山頂に戻り二本目の滑走
雪は不安定で過去、最もリスキーなトラバースでした

カール最上部の滑走はかなり、というか、これまでで最も不安定で危険度の高いものでした。

何せ、ここで雪が切れると雪庇もろともカールの底まで流されアウトっぽかったですから。

ほぼ同じ標高を保ちながら変わり行く足元の雪質をスキーを通して感じながら滑るのは初めてのことだったので、まったく生きた心地がしなかったですね。

結果的には素直に稜線を歩くのがセオリーだったと、大いに反省材料となりました。


中ノ沢上部より雪のない大喰岳山頂部・西面を見上げる
山頂からの豪快ダウンヒルが色んな意味で理想的

スキーブーツという硬い材質の素材で足首を守られていても、ガレ場の歩行は危険極まりない。


中の沢、エントリー部より見下ろすと、飛騨沢に向かい広い斜面が続いているのが見える
スカイラインは左、笠ヶ岳~抜戸岳~弓折岳と右、奥に黒部五郎岳、双六岳方面
中央を横切るのは中崎尾根、奥丸山(左端)

上部から見下ろす中ノ沢は、下から見上げて受ける印象とは全く違い、とても広くて快適です。

中間部にやや狭い部分はありますが傾斜はさほどきつくなく、そこを過ぎれば飛騨沢本沢までは緩斜面。

下部ほど落石はみられましたが、滑走に影響するほどではありません。

縦溝も下部のみで、飛騨沢のそれとは比較にならず無いに等しいほどでした。


ずいぶん低くなった奥丸山、中崎尾根と笠ヶ岳、抜戸岳


飛騨沢・本谷より中ノ沢を見上げるとこんな感じです


白出沢で見上げるとジャンダルム~西穂高岳稜線が夕陽に紅く染まりかけていました

で、帰宅した翌日、荷物整理していると、あるモノがないことに気付いたというか、何故、今まで分からずにいたのか、とにかく理解できないようなことを発見してしまった。

どこを見てもシールが見当たらない。

最後にシールを剥がし片付けたのは大喰岳の山頂だけど、それからも何度かザックから出し入れした。

どこに置き忘れたかな~。

最後に滑り始めたのは中ノ沢上部のガレ場で、以降、槍平で食事もしたし白出でもザックを開けたけど気付かずじまいだった。

もし、エントリーした所で忘れて来たとしたら、そこは登山路(夏道)から50メートルほど下方だし、ガレガレのがレ場だから誰も気付きはしないかな~。

警察や槍ヶ岳山荘にも連絡してみたが拾得物の届け出はないそうだ。

今年は、もう使うことはないからイイようなものの、来年度はまた新調しないといけなくなってしまい、ちょっと悲しいツアーの顛末となってしまった。

時系列画像のみですが大きめの画像はこちら

ヤマレコにも



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2015年4月26日

26/04/15 新緑萌え

パタゴニア

昨日の雪彦山同様、こちらも久しぶりの高御位山に行ってきました。


山頂から見る長尾集落と新池

高御位山が久しぶりなら今日の馬の背からのルートはもっと久しぶりで、お陰で新鮮な気分で歩くことができました。

南斜面では火災の傷跡も薄くなりつつある中、北斜面の新緑がよく目立ちこれも、その一翼。

ちょっと気温は高めでしたが新緑を縫って薫風の尾根歩きを楽しみました。


馬の背コースから稜線に上がると新緑の木々の向こうに高御位山


桶居山分岐から望むと北斜面の新緑が素晴らしい


社殿横で、途中で会っていたO先生にそうめんをご馳走になりました


鷹ノ巣山西峰から姫路市街地を望むと、かなり霞んで見えました


鷹ノ巣山の双耳と高御位山


百間岩を見上げる


鹿島神社に下山です



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2015年4月25日

25/04/15 オチフジとヒカゲツツジ

パタゴニア

かなり久しぶりで雪彦山に行きました。

岩の山ですが新緑の頃になれば可憐な花も咲きます。


オチフジ

今日の目的はこの時季ならではの花に逢うためです。

ひとつはオチフジでもうひとつはヒカゲツツジ。

オチフジはかなりコアな場所ですが、ヒカゲツツジは登山路脇や山頂部も含め、それほど苦労することなく目にすることができるでしょう。

イワカガミもあるようですが今日は探しませんでした。


虹ヶ滝
二重(副虹)になっていますが、ちと分かりづらい

虹ヶ滝はちょっと期待はずれでした。


ヒカゲツツジと鉾立山


ヒカゲツツジと地蔵岳

もちろん赤い色のミツバツツジはよく目立ち、どこからでもだれの目にとまりますが、淡いレモン色で控えめにも見えるヒカゲツツジもお気に入りです。



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2015年4月14日

14/04/15 明日から一人暮らし

パタゴニア

思い返せば、彼が3歳の時からこれまでに色んな山に行ってきた。


'13.05.05 中岳山頂より笠ヶ岳を横目に南沢を槍平へ向け滑る

山への行き初めは台風に襲われた上高地だった。

翌年には上高地から3泊を要して涸沢まで行った。

パノラマコース、奥又白出合の大きな岩の上で昼寝もしながら徳澤へ下ったなぁ。4歳の時だった。

今、この歳まで親の山行に付き合ってくれたのは、この時見た穂高の印象が良かったからかもしれない。

そう、彼とは(あ)。のこと。

22歳になった今、いよいよ明日から大阪で一人暮らしを始めることになった。

自身が若い頃夢見た
「子供と一緒に家族で槍の穂先に」

は、小1の時に達成し、その際に見た穂高のピークも家族で立った。

槍ヶ岳は山スキーでも行った。

一度は日帰りで飛騨沢を、もう一度は南へ縦走し南沢を槍平へと滑った。

日帰りでは秋、早月尾根から劔にも行った。

雲ノ平や双六、南岳でもテントで泊まったな~。

地元、氷ノ山ではわさび谷を滑り山スキーの本質を思い知らされ、それ以前には夜、雪に降られたこともあった。

中学校に上がる前の春休みだったか・・・。

この頃、Sさんには、よく可愛がっていただいた。

のちに大倉谷やネジレ谷も滑った。

大山はYくんとともに弥山山頂からや7合沢、振子沢を滑った。

キリン峠方面にも山スキーを始めたころ、何度か出向いた。

先日、奥大山で久しぶりに張ったテント内で物思いにふけりながらこんなことを考えた。

親バカと言えば、その通り。

学生生活はあと2年。

親元から離れて行く寂しさ反面、これまでのいろんな経験を踏まえ立派な社会人になるべく、これからの一人暮らしの時間を過ごしてほしい。

(あ)。の成長過程のページはこちら




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2015年4月13日

12/04/15 伯耆大山、こんなところに落し穴

パタゴニア

伯耆大山、奥大山・健康の森から振子沢行ってきました。


振子沢源頭部より見下ろす振子沢

振子沢を滑り、本沢出合まで下ったとき、事故現場に遭遇した。

現場は、我々が朝、鳥越峠から地獄谷本沢へ下る際滑降した小さな谷。

概ね振子沢に向かう際はここを下ってくることが多い。

距離的には短いながら傾斜はそれなりで、下方では40度近いかもしれない。

上部から覗いてみると、下方で雪割れは確認できたものの切れている様子はなく、いつものとおり下ることにした。

見たとおり、中央部に小さいながらクラックがあり注意する。

雪は状態がよく安定していたのでこれを避けながら難なく下ることができた。

スキーならでは。

振子沢出合でハイクの準備をしていると、上部からこの谷を覗きこんでいる単独の登山者が見えた。

「ちょっとまずくない。」
こんな感じで見上げることしばし、登山者はかなり苦労しながらも中央や、左右の穴を避けながら何とか下ってきた。

ツボ足だった。

で、帰路、再度この場所に達すると、まさにその「まずくない!?」ところで事故が起こっていた。


本沢右岸の事故現場 右上が槍尾根
画像左端の小さな谷で滑落、シュルンドに二人が転落

雪上にはシュルンドへと吸い込まれるように滑ったような痕が残っていた。

もしかしてここでシリセード?

いくらなんでもそれはないと思うが、彼ら6‐~7人パーティーのようだが、いくらなんでもその人数があそこを下れば、すぐに雪はグサグサになるのは想像できなかっただろうか。

それに、一人が滑落でもしようものなら連鎖的にみんなアウト。

運が良ければ、上手く本沢に滑り着けたかもしれないが、下から見ると(彼らからみて)右ターンしないと雪は拾えず、普通に考えると無理。

この沢を下ろうとしたことがミスだったと思うが、窮地に立つ前に登り返すか、あるいはバックステップで下ることを提案していれば事なきを得たように思う。

雪上遊びする祭、お尻に敷くビニール製の遊具が見えたので、もし振子沢で遊ぶ予行演習をここでやろうなんて考えていたら・・・、そうでなくとも、予期せぬところに大きな穴があったに違いない。


梢の先に防災ヘリ(中央右)
こうやって見ると決死の救出劇

現場は人里離れた深い沢沿いなので携帯は通じない。

防災ヘリが飛来するまでに約1時間。

後には鳥取、島根それぞれの防災ヘリと県警ヘリの3機が空中を舞う大事になった。

ピックアップするのに、それからさらに数十分。

鳥越峠へのハイク中に幾度となく空中を舞うヘリを見たが、さすがに目線より低い位置の、それも狭い谷底を飛ぶさまはパイロットにとって危険極まりなく、上から見ているとハラハラ、ドキドキだった。

幸いは当人が重症ながら怪我で済んだことだが、ちょっとした気の緩み、不注意で多くの人に迷惑をかける行為は山だけに限らず一般社会でも同じ。

今後も自己の戒とすべき事故に遭遇した振子沢ツアーだった。

ツアーの様子は こちら




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