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田植えの時期を迎えたと思い佐用町、乙大木谷の棚田に昨秋以来で出かけた。
タイミングよく、そこには田植えをして間もないものや、まさに今、その真っ最中の田んぼがあった。
道端に車を止め、写真を撮っていると、すぐ下の田んぼで代掻きをしている人の家族らしい小さな子供二人を連れた女の人がこちらに来て、いかにも今、捥(も)いだばかりのえんどう豆を差し出し、
「よかったらどうぞ。」
こう、妻に声を掛けてくれた。
この女性は、子供の歳を見ても分かるように、決して歳をとっているわけでなく若い人だった。年配の人がこのような行為をするのは、うなずけるところもあるが、そうではなく、むしろ若い部類に入る人が声を掛けてくれたことに驚きがあった。
もちろん妻は遠慮することなく快くいただいたようだが、今となっては都市部では”おすそ分け”ですら物を分け合うことすらしなくなってしまったことを思えば、かつては頻繁に行われていたような記憶のある近所同士で物を分け合った昔ながらの風景を、小さな山里で見た気がした。
山の上から下へと流れ落ちる水の流れをそれぞれの小さな田んぼに引き入れることにより成り立つ棚田の風景と、その山合いの村で暮らす人から受けた暖かい心遣いに、忘れかけていた日本人としての心の原風景を見た。
人と人とのかかわりが希薄な今の世の中、田舎の人も街の人も、実はどちらの人も人恋しいに違いない。
画像は棚田の風景と棚田の中で時折見かけた葉タバコ畑
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