キリン峠より槍尾根、槍ヶ峰を仰ぎ見る
(あ)と二人、奥大山からキリン沢を滑ってきました。久しぶりに見るキリン峠からの槍尾根、槍ヶ峰は圧倒的な存在を持って眼前にそびえていました。
奥大山スキー場をあとに環状道路を歩き出す。
年末に大きな事故があり関係各位はじめ悲痛な想いの方々の心も癒えない折、スキー場が再開されたことによりここまで車を乗り入れられたことに深く感謝。
豊富な積雪量に物言わせ、木谷の橋を渡ったら林の中をショートカット気味に歩く。
カーブミラーの高さを見れば、それなりに積雪量が分かりそうだが、この辺りでも具体的にはどれくらいなのだろうか。
カーブミラー
当初よりスキーのトレースがあったので遠慮なく拝借しながらの歩行。これがなくてもほとんど沈まないので自分たちのルートで歩けばよかったのだが、見事なルート取りだったこともあり、結果的に終始、お世話になる形となった。
春のような日差しに照らされ、木谷のブナ林の中を快適に歩く。
木谷
初め密に存在する若木も次第に老木が点在するようになるとともに傾斜が増し、振り向けばいつしか高度を稼いだことを実感する。右にみえる烏ヶ山もずいぶん低い。
やがて鳥越峠と目線を同じくするか、やや下方に見るようになった頃には尾根上を歩くようになり、あれほど高くにしか見えていなかったキリン峠の雪原が手の届きそうな位置にまで近づく。
昨年だか振子沢に向かった際に登高したときはこの付近で雪が切れ、あえなく鳥越峠へトラバースした記憶のある場所だ。
その時とは違い今は尾根に雪があり歩行に支障はないのだが、風当たりが強いからか、ややクラスト気味なのが気になるところ。
しかし、トラバースと直登とを比較すれば、今日の場合、当然のように直登を選択し先へと進む。
尾根上の霧氷
キリン峠直下をつぼ足登高
間もなくキリン峠ピーク
次第に姿を現せるようになる槍尾根に、はやる気持ちを抑えつつ慎重に歩く。ここでも先行者のトレース通り進み、最後の急斜面はつぼ足となり、無事キリン峠の頂に立つ。
「お~っ!」
まず感嘆の声を挙げたのは(あ)だった。
実は(あ)はこれまで大山に来たことがない、見た記憶もほとんど残っていない、いわば大山のずぶの素人だ。
四季を通じて初めて目にする大山が、雪をまとったこの素晴らしい景観だったから、これも当然かもしれない。
さらには、自宅のとある場所には、かつて自身が撮った、ここキリン峠からの写真が常時飾ってあり、その写真を撮ったまさにその場所に立ったことの感激もあって、こう発したそうだ。
もちろん自分自身も、今日の大山は見事な姿だったと感じたことは言うまでもない。
キリン峠より烏ヶ山
キリン峠にて青空を見上げる
眺望抜群で東側、指呼の距離に見える烏ヶ山の遥か彼方には氷ノ山、扇ノ山をはじめとする兵庫県の山々はもちろん、さらに向こうの向こう若狭方面の山並みまで見えているようだ。南の彼方には四国方面の山並みも見えているような気もした。
もちろん主役は槍尾根と、槍ヶ峰。
北の振子山や矢筈ヶ山、甲ヶ山も山頂部を綺麗に白く化粧して、これらも言わずと美しい。
振子山、甲ヶ山、矢筈ヶ山
やや風はあるものの、二人っきりでしばらくこの見事な景観を独占し楽しんだら北の本沢へと落ち込むキリン沢へと滑り込む。デブリの跡はなく白一色で素晴らしい。
稜線近くはガリガリだったもののすぐに快適となり、ノドを通過すれば傾斜も緩み、あっという間に本沢出合い。
キリン沢のノド
心配していたノドの通過も「のどもと過ぎるまでもなく、すぐに熱さはなくなる。」
キリン沢はもっとタフなルートかと思いきや、沢自体がそう長くなくノドの通過を含め決して難しいルートではないことを身を持って体験することが出来た。
今日は特に条件がよかったようだが、無事通過できて何よりだった。
キリン沢を滑る
本沢にて槍尾根を見上げる
本沢は沢が出ていないのはもちろんのこと側壁の雪もまったく落ちていないので、ここでも見事な景観が広がる。駒鳥小屋付近まで下っても一面真っ白。気持ちよくシュプールを描く。
ところで、これまで登山口から同じルートをたどったこととなった先行のトレースの主だが、本沢からは振子沢へと上がったものだと思っていたら、意外にもそうではなかった。
今日の条件なら振子沢もこの上ない条件で滑走できただろうに・・・。
ちなみに、我々は元来その行動予定は立てていなかった。(残念)
駒鳥小屋下方の鳥越峠から落ち込む小さな沢の入り口でブレイク。
上空を行き交うジェット機を見上げながら、しばしのんびり。。。
腹ごしらえが出来たら
「これがなければ言うことなし!」
の、このルートで唯一の負の部分ともいえる峠への登り返し。
鳥越峠へ向け登高
約一時間のアルバイトで峠に立てば、あとは下るのみ。で、その前に自宅に確認の電話。
「何か用事はできた?」と。
何もないようなので、前にも書いた初大山の(あ)に大山の定番中の定番、鍵掛峠からの景観を見せようと、下山口を健康の森入口に定め、滑る。
毎度のことながら下りは早い。わずか10分ほどで、そこに到着。
目と鼻の先のはずの峠へは、今度はそれ以上の約15分ほどを費やすも、ここで見える南壁にも感嘆の声を挙げてくれたので足を向けた甲斐があった。
鍵掛峠
何といっても(あ)にとっての大山は、目にするどの景観もが自分が想像していた伯耆富士たる富士山のような形をしていない山に最大の驚きがあったようだ。帰路、環状道路はスキーが滑らないので林間に入ってみるとよく滑ってくれた。
木谷の橋手前で道路に出ればスキー場は間もなく。
下山はスキー場のクローズ時間までまだしばらくありそうな16時前だったので、最終近くまでしばらく滑ったあと今日のツアーは終わりとした。
自身がキリン峠からの景観を初めて目の当たりして驚愕したとき以上に、(あ)は驚きの目を持って今日、大山を見たに違いない。
というのも、そう感じた時が、まさに親子の歳ほども離れているのだから・・・。
HPはようこそ『山のアルバム』へ
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