2009年5月6日

04~05/05/09 一期一会・剱御前小舎にて

パタゴニア

剱御前小屋主人、佐伯さん(右)と坂本さん
出会いの地、剱岳を眼前に望む剱御前小屋を訪れたのは前日、御山谷を黒部側へと滑り、一ノ越に宿泊したのち立山、別山と縦走し今日の宿泊地として訪ねたものだった。

山小屋の造りはどこも同じようなもので、入口を開けなかに入るとまず広めの土間があり、その傍らには登山靴を脱ぐことなく対応できるような位置にフロントともいえる小さな窓口があるから、いの一番に小屋番さんと顔を会わすことになる。

その窓口の向こうに座る、この小屋の受付をされている人の顔を見た瞬間
「どこかで会ったことがあるんじゃないかな?」
と感じた。

宿泊者らしき人との応対の口調が聞こえてくると、益々その思いは大きくなって行く。

あの風貌と物腰の低いしゃべり口調。これはあの時の人に違いない。

ダメ元で自身のモヤモヤを晴らすため勇気を出して聴いてみた。
「以前、薬師沢小屋に居られませんでしたか?」
と。

すると、そのとおりで薬師沢小屋には三年ほど前までいて、今はここでお世話になっているとのことだった。

薬師沢小屋時代の坂本さんと(あ)人間の記憶力は大したものである。
と同時に一瞬のうちにその時の記憶が脳裏に蘇えるから不思議としかいいようがない。

もちろんこの時点ではこちらのことはどこの誰だか理解できておられないと思ったので、
「子供と一緒にお世話になり、一緒に写真を撮らせてもらったりもしたのですが・・・。」
などと、いかにも他の人とはちょっと違う特徴的なことを話してみると、薬師沢では宿泊者がそう多くなかったことや、この人の出身地とこちらの住所が近かったことから話が弾み、夕食後に長らく三人で話をさせてもらっていたからか、間もなくこちらのことを思い出してくださった。

それにしても、こんなところでこんな人と再会するとは夢にも思わないことが現実に起こったから、びっくりするやら嬉しいやらで驚きは隠せない。

以前はいた(あ)が今日はいなかったものの、この日の約4年ぶりの出会いは自身にとってはとても感慨深い出会いとなった。

翌日、小屋を発つ際
「今度、ここを訪れるときは、ぜひ(あ)と一緒に来たいですね。」

「帰られたら息子さんによろしくお伝えください。」

最後まで温和な人物像は以前の印象と何も変わりなく、
「ぜひ再訪を
との念を強く持ちつつ別山乗越をあとに雷鳥沢を雷鳥平へと滑り降りた。



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