2010年5月6日

05/05/10 千畳敷から三ノ沢岳&カール滑降ツアー

パタゴニア

熊沢岳、南駒ヶ岳と湧き上がる雲
前日の木曽駒ヶ岳ツアーに続き、今日は木曽側にピラミダルな山容を誇る秀峰、三ノ沢岳へテレマーク・ツアーに出かけました。

モルゲン・ロートの宝剣岳稜線
ホテル千畳敷で朝食をすませたら、千畳敷をあとに極楽平へ向け歩きだします。

朝一のロープウェーはすでに上がってきている時間帯ですが先行登高する人影は見えず、我々が本日の一番乗り。

まずは見えている南の稜線まで、おわん状の谷を詰めます。

その後のルートは極楽平から伊奈川源頭域を滑ったあと、稜線伝いに三ノ沢岳へ達したら今日のハイライト的な三ノ沢カール滑降。

適当なところまで滑ったら極楽平付近の稜線に戻り、最後はこの谷を滑り千畳敷へと戻ります。

見える稜線へ、まずは40分ほどのアルバイト。

千畳敷を背景にハイク・アップ
今日は昨日と同じくこの時期にしては暑いものの、雪は緩んでいるのでシールがよく利き、大股でのんびり登高。

稜線近くまで上がると涼しげな風を感じられるようになり、肌に気持ちいい。

稜線まで上がると南や西の展望が一気に開け、残雪の空木岳や南駒ケ岳までよく見えます。

空木岳、南駒ケ岳、熊沢岳方面
西には指呼の距離にこれから向かう三ノ沢岳が真っ白な雄姿を見せてくれるようになりますが、そこまでのルートを目で追ってみると
「そんなに近くないかも・・・。」

昨日はほとんど見えなかった木曽御岳ですが、今日は小さいながら、わずかに大きな山体を見せてくれています。

千畳敷自体からの景観は、やや物足りなさを感じなくもありませんでしたが、ここまで来るとそれなりの光景を見せてくれるようになりました。

御岳に関しては昨日はほとんど見えませんでしたから、これでも見通しは少しは改善したようです。

このあとには本当に微かですが乗鞍山塊も確認出来ました。

例年、この稜線では西からの風と地形的なものから地表が露出していることが多いようですが、さいわい今年は積雪豊富で極楽平の標柱まで進めば伊奈川源頭域へと雪は繋がっていました。

これからのルートを決めたら源頭部を滑ります。

伊奈川源頭を滑る 遠景は空木岳と南駒ケ岳
昨日の日中の暖かさが残っていたせいか、夜にもあまり気温は下がることなく、また風もないので快適斜面が広がります。

伊奈川源頭を滑る
中央アルプス南部の山々を遥かに望みながらの滑降は、快適そのものです。

しばらく下ったら目標地としていた尾根南の小さな台地に向けトラバース。

ここから見上げる三ノ沢岳は正面にカールを抱き、見事な姿です。

真っ青な空のキャンバスに一条の飛行機雲
台地で記念撮影さて、
「どこで尾根に上がりますか?」
再度ルート検索したらハイマツの出た最低コル付近でそこに上がることとして片斜面を進みます。

基本はトラバースですが、足元はしっかりしているので安心の登高です。

ハイマツの下方まで達したらアイゼン歩行に切り替え稜線に出ました。

正面から右手にかけ深く切れ込んだ谷を隔て、昨日の木曽前岳~木曽駒ヶ岳~宝剣岳。

青空には白い雲がのんびりと浮かび、稜線を境に上と下とでまったく対照的な光景が広がります。

稜線を登高する
雪原に頭を出した遭難碑を過ぎると傾斜はややきつくなり、山頂へ向け最後の登りです。

見えている二つのピークの右のピークのさらに右奥に本当のピークがあります。

最後の小さな尾根は南、伊奈川側は雪庇、北、滑川側はやや切れ落ちていたので安全策で一つ手前のピークにスキーをデポして山頂に達しました。

さすが、このピークは主稜線から外れているだけのことはあり絶景が広がります。

北の麦草岳も見えるようになり中ア全体がすっかり見えるようになりました。

三ノ沢岳山頂より麦草岳、木曽前岳~宝剣岳の主稜線
山頂をあとにデポ・ピークまで戻ったら滑降開始。

山頂直下の滑り
ここまで誰にも会うことなく、また眼前にこちらに向かってくる人は見当たりません。貸し切りでの滑降です。

稜線をケルン付近まで滑ったら、次はカールに向け落ちて行きます。

三ノ沢カールを滑る
雪の状態も良く快適滑降。あっという間にカールの底まで達してしまいました。

ここでお楽しみは終了かと思いきや、思わぬところにいいものを発見。

大きな岩が大きな影をこさえて、
「ここでおやすみ・・・。」
と手招きしているではありませんか。

大岩よりカールを見上げる
元来、カール底まで滑ったあとお昼のブレイクにしようと思っていたところ、さらに、こんなにいい場所でのんびりすることが出来ました。

ここからは本日、我々以外で唯一伊奈川方面へ滑って来ていた5人パーティーがハイクアップするのがよく見えていました。

重い腰を上げたら戻りましょう。

基本的にはカールは底まで滑らず往路を戻ることにしました。

台地まで戻り振り返り見上げると、我々二人の着けたトレースだけが残雪にくっきりと残っているのが確認でき、充実感でいっぱいです。

伊奈川源頭部の登り返しも、そう苦になるものではなく、いつしかハイマツ帯に達したかと思うと夏道のロープがすぐ目前です。

2859ピークのすぐ北で稜線に出ると、あとは千畳敷に向け滑るのみ。

「これで最後だ~。」
意気がってカールに入っても重くてズタズタになった雪に足をとられ、なかなか思い通りには行きません。

「ま~、こんなもんでしょう!?

最後の一本を滑るSさん
ホテルでラスト・オーダーの食事をとり、16時のロープウェーに乗車。

遥かに高くなり行く檜尾根を見上げながら帰宅の途に着きました。

千畳敷   発:08時35分
極楽平   発:09時25分
稜線南台地 着:  55分
発:10時10分
最低コル  着:   35分
三ノ沢岳  着:11時45分
発:   50分
カール底  着:12時10分
発:13時20分
島田娘稜線 着:14時45分
千畳敷   着:15時05分

前日5月4日、木曽駒ヶ岳、和合山ツアーは
こちら

HPは
『山のアルバム』

photo, telemark ski, エクスペディション(日帰り以外の山行), 山小屋泊山行, 山歩き、登山,

2 件のコメント:

sasayan さんのコメント...

なんども読み返して余韻に浸っています。
今回の山行がこのブロクに凝縮されていて
何とも言い難いしあわせを感じています。

(ま)。 さんのコメント...

CD、週明けには届くと思いますので
再度、その画像で楽しんでいただけたらさいわいです。

また、ご一緒したいですね。

(ブログの画像は基本的に拡大表示出来ないようにしています)