2025年11月4日

31/10-03/11/25 北燕岳

燕山荘連泊して燕岳と北燕岳に行ってきました。

槍ヶ岳・大槍と北鎌尾根・独標

パタゴニア

燕岳よりみる北燕岳

本来は大天井岳・大天荘の今シーズンの小屋締めに行こうと計画しましたが、天候の変化やこの時季ならではの降雪に対するリスク・マネジメントの観点も含め、稜線までは達したものの大きく予定変更して、手前の燕山荘に連泊することにしました。

一日目に燕山荘に宿泊したのち二日目に大天荘に向かい、本来の目的の大天荘泊を叶えることも不可能ではありませんでしたが、当日の天候は決して良いとは言えず、かろうじて好天気味なのが午前中に限られることや、午後から翌日にかけては降雪、積雪ありの気象を考えると、下手をすると最終日に下山どころか、燕山荘にさえ戻れない恐れがあります。

荒ぶるガスに浮かぶ大天井岳

つい先日まで暑い暑いの連続だったのが、一気に秋が来たと思ったら、今度はあっという間に冬どころか真冬が到来してしまいました。

昨年の同時期にも同じ常念山脈で大雨に降られ、かなり難儀しましたが、雨が雪に変わることはなく稜線上にも積雪はありませんでした。

今年はそれがずいぶんな降雪、積雪で、1日にはほとんどなかった積雪が3日朝には30センチメートル、吹き溜まりでは1メートルにもなろうかといううほどにもなって、これではどうしようもありません。

燕岳山頂で見る表銀座縦走路、常念山脈

装備的には、これらにも十分耐えうる準備をしてはいましたが、さらに厄介なのが風です。

表銀座縦走路といわれる燕岳から大天井岳にかけての稜線は、そもそもが風の強いところで、それに加え、いくら新雪とはいえ積雪があると無雪期とは全く違った表情の縦走路になります。

おまけにこれだけの雪が一晩で降ると、急斜面では雪崩の危険も相当高く、なかでも大天井岳の北斜面の最後のトラバースルートは危険極まりありません。

結果的に、大天荘に向かわなくて正解でした。

帰宅後にはこの日、燕山荘から大天荘に向かった方が、引き返してきたと当山荘のブログに記してあるのを目にしました。

おそらくこの方は、こちらが山荘をあとにする際、お話しさせてもらった当山荘の常連のNさんで、この辺りのルートを熟知しているといえる彼でさえ、このような対応をせざるを得なかったことを考えると、自身がもし、その気になって向かったとしても、早々に引き返してきて、ようやく事なきを得たと感じたに違いなく、この判断は決して間違っていなかったといえるでしょう。

深夜の燕山荘

いずれにしても、今年の11月2日の夜は、ひと夜にして真冬が訪れた夜となりました。



前述が長くなりましたが、せっかくここまで来たのでピークを踏まずに下山するのはなしとして、天候も午前中なら何とか持ちそうなので、これまでにも行きたかった燕岳のもう少し先の北燕岳に行くことにしました。

メガネ岩

昨年、大滝山の素晴らしさに触れたのも、今回と同じように天候により蝶ヶ岳ヒュッテ連泊があってのことでした。

今年も計画通りは行きませんが、そんなメリットを最大限に生かし、また、持論としての「山は行ってみないと分からない」をもって向かいます。

北鎌尾根・独標

想いのとおり、ここにも十二分の恩恵がありました。

北燕岳は燕岳の、さほど距離の離れていないところに位置していますが、ここまで足を向ける人は少なく静かな山頂を独り占め。

山頂に滞在中は槍ヶ岳の全容を見ることができませんでしたが、それまでの燕岳山頂近くに達した頃には、運よくガスが晴れる時間帯があり、北鎌尾根から穂先までの見事な槍ヶ岳を見ることができました。

次々と穂先を襲っているガスは、まるで生き物のようで、わずかな時間ながら素晴らしい光景を堪能しました。(表題画像)

北面より見上げる燕岳山頂部

北燕岳と裏銀座・三ツ岳

一方、西の渓に目をやると、湯俣の谷から裏銀座の稜線にかけての縞模様が、この上なく見事で、一度、目線を下げ、そこから上げてみると、一瞬で晩秋から冬へとの変化を一瞬で目の当たりすることができます。

高瀬渓谷を隔て、南真砂岳~野口五郎岳~三ツ岳

東の渓の東沢のカラマツの黄葉も素晴らしく見事です。

有明山

見下ろす東沢の黄葉したカラマツ林と樹氷の木

目にする見事な景観は、昨夜の雪のお陰でしかありませんが、自然環境相手の登山では、いつでも、また誰でもが享受できるものではありません。

命あっての物種。

今山行は、まさにそれを地で行くこととなりました。

一期一会もそうですし、千載一遇も、もちろんです。



中房線の乗合バスのフロントガラス越しに見える黄葉は、山上からみるそれとは、ひと味もふた味も違ったものに見えました。

車窓に真っ盛りの紅葉

JR大糸線・穂高駅前、安曇野ブルワリー

穂高駅から大糸線の列車に乗り、松本からは、しなので名古屋まで。

名古屋駅に入線する当該のぞみ

ごった返す中、新幹線・のぞみに乗り換え、やや、せわしない列車旅を満喫して今回の山行を終えました。

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