先の氷ノ山ツアーで山頂から若桜へ下るにあたり氷ノ越えに立ち寄ったので、3月4日、ここから兵庫県側の親水公園へ下山途中遭難され亡くなられた中尾さんの記述が残っているかと思い、小屋の記録帳をめくってみた。
最新の記録から数えて三枚目に彼女の記載はあった。あとの二枚のうち一枚は遭対の方、もう一枚は所属山岳会の方のようだった。
確かに彼女のとった行動は責められるところがなかったとはいえないし、残された記述だけを見れば、あえて自身がより責められる事を承知のうえ自ら記していたかのようにも見えるのは虚しいばかりだが、本来、この時期は訪れる人も少ないながら、これに対しての悪質な記述はなく、昨今のネット社会の弊害ともいうべき人の行為に対し全くの第三者が口を挟む行為がここにまで及んでないことを垣間見たことは、本当の山好きはそこまで落ちぶれてないと確信出来ることでもあった。
世の中、”たら”、”れば”を並べたら何でも出来てしまうが、あえて言わせてもらうとすると、これを書いている時間だけでも早く下山していれば・・・。
こちらが立ち寄ったこの日のように、せめて例年通りの積雪(残雪)があれば・・・、と残念でならない。
彼女とは全く面識もなく、もちろんどんな方かも一切知らなかったが、奇しくも事故の前日、彼女が訪れていた扇ノ山・上山高原で彼女と話した人からその時の話しを後日、少しながら聴いただけに、また氷ノ山という馴染み深い山域での事故だけに、この遭難は他人ごととは思えない。
ここにみた「あなたはイヌワシが好きだったね」との山仲間の残したくだりからは、故人の人柄をひしひしと感じ取れ、余計に虚しさが増すばかりだった。
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2007年3月19日
07/03/17 氷ノ越え避難小屋にて
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2007年3月5日
07/03/04 JR姫新線(きしんせん)初乗車
ちょっと大そうないい方になるが、この世に生を受けてほぼ46年、昨日、この歳になって初めての体験をした。
姫新線の列車に初めて乗車したのだ。
姫新線は姫路と中国山地の山あいの町、津山を経て新見とを結ぶローカル線。新見では岡山からの伯備線と連絡しているが、かなりローカル色が強い路線だ。
家内の実家がこの姫新線沿線、たつのであり、結婚以来、それまでに一度も乗ったことのなかったこの路線にいつかは乗ってみたいと常々思っていた。しかし、道路事情のよくなった昨今においてはそこへ出向くのも車が当たり前の頃となってしまい、これまでは実現できずじまいで過ぎてしまっていた。
子供が成長するとともに実家へ出向くことは次第にその回数を少なくしていたが、久しぶりに訪れたチャンスを見事に物にした。
こちらは朝から岡山の那岐山へ向かい、妻子は昼から実家へ向かうという。
部活動に精を出している息子は、普段の日曜なら一日中練習があるのが常だが、シーズンオフのこの時期なのか、今日は練習は昼までらしい。
たつの市は那岐山からみれば帰路にあたるが、あえて一度帰宅したうえ、そこへ向かうことににより列車に乗車することにした。
那岐山から帰宅したら大急ぎでシャワーを浴び、近くの山陽電車の最寄り駅まで駆け足で急ぐ。
何といっても姫新線はローカル線だから列車の本数が極端に少ない。ターゲットの列車に乗車しようとすれば、通勤ラッシュ時とも思える17時台ですら2本しかないので、あわてざるを得ない。
姫路駅で山陽電車からJRに乗り換え、1番ホームで列車を待つ。
そこには想像以上のたくさんの人が入線するであろう列車を待っていた。
しばらくして見えてきた列車はディーゼル車特有の音を発しながら入線した。
高架化工事の真最中の姫路駅において、このホームだけがポツンとかつてのままの姿で、それゆえ取り残された感は否めず、乗車待ちの人たちの風体からも、いかにもこれから田舎へ向かう雰囲気がプンプン漂う。
姫新線においては姫路駅は終着駅。すべての人が降りるのを待って乗車すると、乗り込んだ列車の内部はとてもレトロで、違った意味で新鮮だった。
「ガタンゴトン、ガタンゴトン」
発車しても列車の下方から聞こえてくる音も妙に新鮮で、過ぎ行く踏切の警報も耳に鮮やか。
播磨高岡、余部(よべ)、太市(おおいち)と停車し、目的駅本龍野に着くのに要した時間は25分ほど。
この時間は新快速に置き換えれば明石よりも先、元町近くまで達している時間だ。
都会の電車ならこんなにも移動できる時間で、わずかな距離しか走れないローカル線ながら、車窓に広がる景色はゆっくりと流れ、ずいぶん遠いところまで来た気分にさせられた。
わずかな時間の停車後、列車が本龍野駅を走り去るとき、ホームにはすでに誰もいなくなっていた。
画像は列車内の料金表示板と本龍野駅を出て行く列車
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