二段になって静かに流れ落ちる新娘潭(Bride's Pool)の滝
新界(New Territories)地区最北東部、船灣(Plover Cove)の新娘潭(Bride's Pool)付近と沙頭角海(Sha Tau Kok Hoi)を望む鹿頸(Luk Keng)、南涌(Nam Chung)を歩きました。まずは東尖(East Tsim Sha Tsui)からMTRに乗り、紅磡(Hung Hom )で乗り換え大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)へ向かいます。
今日の目的は新界(New Territories)の最北東部に位置する南涌(Nam Chung)の棚田のような池を見ることです。
大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)でMTRを下車したら、すぐそばのバスターミナルから275Rのバスに乗車し、大美督(大尾督)(Tai Mei Tuk)を経由して新娘潭(Bride's Pool)に向かいます。
乗客はそんなに多くありません。
このバス、休日のみの運行なので平日利用は注意が必要です。(今日はNEW YEAR's DAYの祝日です)
大埔(Tai Po)の工業団地を右手に見ながら走るうちは人工的な雰囲気ですが、やがてバスが海岸線を走るようになると、車窓からの景色ががらりと変わります。
左手には南国ムードの民家や小さなお店が点在し、右手には吐露港(Tolo Harbour)の海や馬鞍山(Ma On Shan)が見え、
「これから自然豊かで風光明媚なところに行くんだな~」
という気分にさせてくれます。
車窓からは吐露港(Tolo Harbour)越しに馬鞍山(Ma On Shan)が望めた
しばらくすると大美督(Tai Mei Tuk)。夏にはずいぶんの人で賑わいそうなリゾート基地のような雰囲気のいいところです。
行き交う車も社用車やVIPが乗るような車ではなく、スポーツカーが目に付き、それ以上に目に付くのはバイクです。
もちろんモーターバイクもそのうちですが、ここではバイシクルです。
なかでも、ここから新娘潭(Bride's Pool)間は特に人気のようで、カラフルなウェアーを着込みカッコいいバイクで走っている人をたくさん目にしました。
交通量が少ないので、何かにつけてこれらを走らせるのに都合がいいのでしょう。
巡回の警官や白バイも見かけなかったですし・・・。
やがて到着した終点の新娘潭(Bride's Pool)にはびっくりしました。
あるのはバスの旋回場を兼ねた駐車場とトイレだけです。
はっきりいって何もないんです。
ここで昼ごはんを調達するつもりで何も用意してこなかったので大失敗です。
おまけに、ここから目的地の南涌(Nam Chung)までは歩く以外移動手段がなく、約45分~1時間掛かるとのことと同じバスに乗ってきた現地の人から聴き、さらにショックでした。
鹿頸(Luk Keng)近くの直線道路
道中はとても退屈でしたがエンジン音が聞こえてくるたび「おっ、今度は何だ(どんな車だ)?」
こんななことや、道端にあるバーべキューサイトでバーベキューを楽しんでいる人たちを恨めしげに横目で見るのをささやかな楽しみに車道を歩きます。
1時間でようやく南涌(Nam Chung)の手前の村、鹿頸(Luk Keng)に到着です。
鹿頸(Luk Keng)には道端に小さいながらお店が二件ほどあったので、まずはひと安心。
ルノーとポルシェ
それにしてもどうでしょう。こんな片田舎の小さな露店のようなお店の前に停まっているのが、かのポルシェとルノーです。
日本では考えられない光景です。
他にもツアー客を連れて来たと思われる大型のバスが何台か停まっているのに驚きました。
その後も何台かのバスを見かけましたが、そのほとんどが韓国人を乗せたツアーだったようです。
こちらが知らないだけで、こんな辺ぴなところがかつては韓国と何らかの関係があった場所なのかもしれません。
一軒のお店でtake awayのサンドイッチを注文し、これをお昼ご飯とすることにします。
このサンドイッチ、決して○○パン謹製のような既製品ではなく注文をきいてからお店の人がつくる手作りです。
さすが香港。食についてはどこに行ってもスキがありません。
ちなみに、ツナサンドと卵焼き+ハムのサンドを注文しました。
それぞれ15ホンコン$(1ホンコン$≒12円)くらいだったかな・・・。ちょっと高めかもしれません。
さて、これから今日の目的地にようやく出発です。
ここに来ようとしたのは、ある本にここの写真が掲載されていて、ぜひその光景をこの目で確かめたいという思いからでした。
鹿頸(Luk Keng)にも同じような地形が広がり、湿地帯のようなところや、その河口のようなところに池が点在していますが、南涌(Nam Chung)側のそれほどは数も多くなく展望にも優れません。
お店の前の路地を奥へと入って行きます。
民家の前を通り小さな峠に出るとようやく南涌(Nam Chung)側の池が見えるようになりました。
三方を山に囲まれた広い谷合いに、いくつかの池が整然と並んでいるのが見えます。
この後、しばらくトレイルを歩き丘のようなところに上がると・・・、目の前にはいくつもの池が見えるようになりました。
しかし、その写真を撮ったと思われる具体的な場所が解かりません。
持参の写真を広げ同定しようとしますが、ここでは高度が足りず、いまいち判然としません。
それなら、もう少し上部からかと思い丘を上に向かって歩いても同じで、さらに歩きすぎると林の中に入ってしまいます。
鹿頸(Luk Keng)近くのトレイルは時折人が行き来する程度だった
池の向こうに見えている民家そのものや建物の角度から、ある程度の水平方向の撮影位置は特定できるのですが、そうすると垂直位置の関係がどうもおかしくなってしまいます。右往左往するうち腹も減ったので、それぞれの池を見渡せる丘の途中で、先ほどのサンドイッチを頬張ることにしました。
行き交う人はほとんどなく、時がゆっくりと流れてゆきます。
決して安くはなかったけれど、このロケーションでの手作りサンド、美味くないはずがありません。
このあとも、しばらく辺りを歩きましたが結局、その場所は解らずじまいで、
「その写真は空撮に違いない。」
残念ながらこんな結論に達し、この場をあとにすることにしました。
いい景色を見ながら、のんびりと美味しい食事が出来たのだから、良しとしましょう。
これらの池とは別に正面に見えていた深圳と境を接する山の稜線の向こうに、深圳(Shenzhen)の高層ビルの尖塔の先らしき物が見えていたのには驚きました。
南涌(Nam Chung)の池はひっそりと静まり返っていた
先ほどまで見えていたこれらの池のたもとまで下りて来ると、何という静けさでしょう。吹く風によって起こる水面の波もどこまでも静かです。
このあと軍のヘリコプターが飛来して初めて、ここが中国本土との境界近くだったことを、ようやく思い知らされましたが、これがなければ決してここが香港であることを感じることはありません。
南涌鄭屋(Nam Chung Cheng Uk)近くのお宮
大灣(Tai Wan)で一般道に出たら鹿頸(Luk Keng)まで沙頭角海(Sha Tau Kok Hoi)を左手に見て車道を歩きます。海辺にはマングローブが茂り海に浮かぶ小島には野鳥が遊びますが、その向こうにはここでも高層アパートが見えています。
手つかずの原始の姿があるかと思えば、すぐ目と鼻の先に現代の姿がある。
これもいかにも香港ならではの光景でしょうか・・・。
沙頭角海(Sha Tau Kok Hoi)の向こうに沙頭角(Sha Tau Kok)の街並み
鹿頸(Luk Keng)に着くか着かないかの頃、ちょうど南涌(Nam Chung)方面からタクシーが来て客を下ろし始めました。先客と入れ替わるようにこのタクシーに乗り込み新娘潭(Bride's Pool)へ向かいます。
今度はわずかな時間でそこに着くことが出来ました。
ただ、乗った当初、先客のお尻のぬくもりが残っていたのが微妙な感覚でしたが・・・。(30ホンコン$ 含チップ)
本来ならここからバスに乗り帰途に着くはずでしたが、バスの時間までまだしばらく時間があったのが運の付きでした。
その滝がこの近くにあることは頭にあったのですが、実際にはどのあたりにあるかよく解っていませんでした。
その滝、新娘潭(Bride's Pool)の滝は、バス停のすぐそばといってもいいところに位置していたのです。
すぐ下方の駐車場には沢山の車が停まっていて、沢へと続いているトレイル脇のバーベキューサイトはバーベキューを楽しんでいる人たち賑わっています。
沢まで下ると水遊びをしている人も沢山いました。
新娘潭(Bride's Pool)の沢で遊ぶ人たち
遊歩道をしばらく歩くと滝の下に出ます。新娘潭(Bride's Pool)の滝は決して大きな滝ではありませんが、二段になって物静かに流れ落ちている姿が印象的です。
結婚間近の娘さんが身を投げたことによりネーミングされたという、ちょっぴり物悲しいネーミングですが、それもうなずけるような雰囲気をもった滝でした。
巨岩の奥に新娘潭(Bride's Pool)の滝
のちに、この滝の近くにもう一つ立派な滝があることを知り、その滝を訪れられなかったことに非常に残念な気持ちになりました。その滝は照鏡潭(Mirror's Pool)。
この滝は一段ながら水量が多く男性的なようです。
この滝も新娘潭(Bride's Pool)の滝同様、一般道からそう遠くなさそうなので機会があれば出向きたいものです。
大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)
新娘潭(Bride's Pool)を出たバスはバス停のたび人を乗せ、いつの間にかすっかり満員です。バスに揺られ大埔※(※は土へんに虚)(Tai Po Market)に着いた頃はまだ明るかったですが、MTRを乗り継ぎホテルの至近でようやく陸上に上がると、辺りはすっかり暗くなっていました。
見上げると、そこには誰もが知る色とりどりのネオンが輝いている香港がありました。
翌日の大美督(Tai Mei Tuk)~八仙嶺(Pat Sin Leng)~黄嶺(Wong Leng)~鶴藪圍(Hok Tau Wai)は
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◆ みんなで香港に行ってきた
※参考文献および地図
香港自然散策
郊區地圖(Countoryside Series)
新界東北及中部(North East & Central NT)
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