早月尾根から日帰り剱岳目指しましたが、昨日の降雪で早月小屋で敗退でした。
登山口の碑
標高1,200メートルあたりのきつい登りを黙々とこなしながらこんなことを考えていた。
そもそもこの尾根は、なぜ早月尾根という、一般によくある近隣にある地名だとか、ルートを拓くにあたって尽力した人の名だとかを冠していない名が付けられているのだろうかと。
まずは漢字の『早月』を頭の中に想い浮かべてみる。
元来、この漢字そのものがこの尾根のイメージだから、何も見えてこない。
早く月が見えるわけでないし。
次にひらかなにして考えてみると、思わぬことに気付かされた。
もしかして、はやつき、早や着き・・・。これの当て字か?
早く着くことができる尾根だから、これに今の字をあてて早月尾根?
確かに、夜の明けぬ頃から歩き出すほとんどの人は日帰りを狙ってる人たちで、かつての立山信仰の延長上の別山尾根のルートを考えれば、かなり短い時間で剱岳の山頂に立てるルートに違いなく、あまりに単純な発想ながら、この想いに勝手に納得しながらさらに歩を進めたのだった。
とはいっても、登山口の馬場島と剱岳山頂との標高差、2,200メートルを誇るこのルート、標高差があるばかりでなくやはり道のりは長い。
途中、唯一の山小屋、早月小屋まででも標高差は1,500メートルもあり、普通なら十分に山頂に達せてもおかしくない距離と標高差。
猫又山
ところが、ようやく小屋に着いてみると、
「今日はこの先は行かないでね。」
「登ることはできても、降りられなくなっちゃうからね。」
この小屋のご主人、佐伯謙一さんの発した言葉は一見、優しげに聴こえたが、本当はもっときつく言いたいところを、かなり抑え気味に言われているところにこの先のルートの厳しさがあるように見えた。
今朝、小屋の気温は0℃。昨夜、馬場島では雨だったが、稜線は雪。
北方稜線のスカイラインが見えることがあったが今はガスの中で、この先の状況は自ずと知れたもの。
早月小屋
先着の数人の登山者も含め、パラパラと上がってくる後続の人たちもこのアドバイスを聴き入れ(当然です)、早々に下山となった。
昨日は白馬や槍で初冠雪があったとのニュースも知ってたし、登山口でも3時頃までは雨が降っていたので、
「もしかして、山頂までは無理かも?」
と、こんなこともある程度想定していたが、それでも数少ない機会を逃したことに違いなく、複雑な思いで再び長い尾根を下って行った。
早く着けるから早月尾根と命名したのだろうと勝手な思いつきで納得したものの、降雪に阻まれ山頂に達することさえできなかった早月尾根。
「全然、早くないやん!」
いやいや、無事に下山してナンボの登山。
今日、明日はどのルートでも山頂に達することはできなかったに違いありません。
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